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お中元は、日ごろお世話になっている方へ夏のごあいさつとして贈るもの。気持ちが主役の習わしですが、品物の選び方や贈る相手によっては、よかれと思ったことがかえって失礼になってしまうこともあります。意味あいを知らずに選んで、相手に妙な気をつかわせてしまうのは避けたいところです。
とくに迷いやすいのが、「目上の方に贈ってはいけない品はあるのか」「そもそも贈ってはいけない相手はいるのか」「一度贈ったら毎年続けないといけないのか」といった点です。お中元には、長く続けるごあいさつだからこその決まりごとがいくつかあります。
このページでは、お中元の基本のマナーをおさえたうえで、避けたほうがよい品物とその理由、贈るのを控えるべき相手、そして上司や親せきなど相手ごとの注意点までを順に整理します。品そのものを選ぶ前に押さえておきたい勘どころをまとめました。具体的な品は、お中元のテッパンギフト一覧もあわせてご覧ください。
まずは、品物選びの前に押さえておきたい土台のマナーです。お中元は「一度きりの贈りもの」ではなく、関係が続くかぎり毎年重ねていく夏のごあいさつ――この前提を知っておくと、判断に迷いません。
お中元は、本来その年だけで終わらせず、翌年以降も同じように続けるのが習わしです。だからこそ、最初の年に背伸びをしすぎると後々が負担になります。無理なく続けられる範囲で始めるのが、長く気持ちよく贈り合うこつです。
もし「今年お世話になったお礼として一度だけ贈りたい」というときは、表書きを「御中元」ではなく「御礼」にすると、継続を約束しない一回かぎりのごあいさつとして自然に収まります。
本来お中元は持参してごあいさつするのが正式ですが、いまは配送で贈るのが一般的です。品物だけが届くとそっけない印象になりがちなので、送り状やはがきでひとこと添えると気持ちが伝わります。品物と別便で手紙を出す、または箱の中に短いあいさつ状を入れると、より丁寧です。
長期の旅行や入院などで受け取りにくい時期はないか、生ものなら相手が在宅で受け取れるか――こうした相手側の事情に少し気を回しておくと、せっかくの品をきちんと届けられます。とくに日もちのしない品は、届く日を相手と合わせておくと安心です。
品物そのものに罪はなくても、言葉の語呂や昔からの言い伝えで「縁起がよくない」とされるものがあります。とくに目上の方へ贈るときは、次のような品は意味あいを考えて避けるほうが無難です。
靴やスリッパ、マットといった足で踏むものは、「相手を踏みつける」という見立てから、目上の方への贈りものには向きません。実用品として喜ばれそうでも、お中元では選ばないほうが安心です。
包丁やはさみなどの刃物は「縁を切る」を、ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」と書けることから「手切れ=別れ」を連想させるとされ、改まった相手には避けられます。
現金や商品券は、目上の方へ贈ると「お金に困っているのでは」と受け取られかねず、失礼にあたるとされています。相手に使い道を委ねたいときでも、目上へは品物を選ぶのが無難です。同僚や親しい間柄なら気にしすぎる必要はありませんが、相手との関係を見て判断します。
下着や靴下といった身につけるものは、生活の世話を焼くようで目上には向きません。万年筆などの筆記具も「もっと励みなさい」という励ましの品とされ、目上の方へ贈ると説教めいて映ることがあります。後輩や子どもへの贈りものなら問題ありませんが、上司や恩師には選ばないでおきます。
なお、品物に添える掛け紙の整え方や、生ものに熨斗を付けない考え方については、お中元ののしをまとめたページもあわせてご覧ください。
品物だけでなく、「そもそも贈ってよい相手か」も大切な確認点です。立場によっては、お中元を受け取ること自体が相手を困らせてしまう場合があります。
役所の職員や警察官などの公務員、公立学校の先生は、職務に関わる贈りものを受け取ることが規律で制限されています。たとえこちらに他意がなくても、受け取る側が「賄賂」と見なされかねない立場なので、お中元は控えます。お世話になった気持ちは、手紙やことばで伝えるのが安心です。私立学校など事情が異なる場合もあるため、迷うときは贈らない判断のほうが無難です。
職場によっては、お中元のやりとりを禁止していたり、慣習として控えていたりすることがあります。上司へ贈りたいときは、いきなり手配せず、先輩や同僚にそれとなく社内の慣わしを聞いてからにすると失敗がありません。ほかの人が贈っていないのに自分だけ贈ると、かえって相手を気づまりにさせてしまいます。
お中元はお祝いではなく日ごろの感謝を伝えるものなので、相手が喪中でも贈って差し支えありません。ただし、まだ四十九日を過ぎていない忌中のあいだは、忌明けを待ってからにするのが思いやりです。その際は紅白の水引は使わず、無地の掛け紙で控えめに整えます。
引っ越しや異動で今後のお付き合いが薄くなる相手に、毎年続く前提のお中元を始めると、相手に気をつかわせてしまうことがあります。そうしたときは、前章でも触れたとおり表書きを「御礼」にして、その年かぎりのお礼として贈ると角が立ちません。
Q. お中元をいただいたら、お返しは必要ですか。
A. お中元は感謝を伝える贈りものなので、原則としてお返しは必要ありません。ただし、受け取ったらお礼状をできるだけ早く出すのがマナーです。どうしても品を返したいときは、同じくらいの金額のものを「御中元」、時期を過ぎていれば「暑中御見舞」として贈ると、行き違いになりません。高価すぎるお返しは「今後は遠慮します」の合図に受け取られることもあるので、金額は同程度にそろえます。
Q. お中元を辞退したいときはどう伝えればよいですか。
A. いただいた品を黙って受け取らないのは角が立つため、まずはお礼を述べたうえで、今後は気づかいを遠慮したい旨を手紙やことばで丁寧に伝えます。「お気持ちだけありがたく」と添えると、相手の面子を立てつつ角が立ちません。
Q. 毎年贈ってきたお中元を、そろそろやめたいのですが。
A. ある年から急にぱたりとやめると唐突な印象になります。金額や品を少しずつ控えめにしていく、あるいはお中元はいったん区切り、夏の暑中見舞いのはがきだけにするなど、段階を踏むと自然に収まります。長く続けた相手ほど、ひとことお礼を添えて区切るとよい関係のまま終えられます。
Q. 食べ物以外を贈ってもよいですか。
A. 食品でなくても構いません。洗剤やタオルなどの日用品もよく選ばれます。ただし前述のとおり、履物・刃物・現金や商品券などは相手によって失礼になることがあるので、意味あいを確かめてから選びます。相手の好みや家族構成に合うものを選ぶのが何よりの心づかいです。
Q. 親せきには必ず贈らないといけませんか。
A. 決まりはありません。ふだんお世話になっている親せきには贈ると喜ばれますが、近年は親しい身内どうしでお中元を省く家も増えています。家ごとの慣わしがあることも多いので、両親や年長の親族に一度たずねてみると、無理のない付き合い方が見えてきます。
お中元のマナーは、つきつめれば「相手に余計な気をつかわせない」という一点に行きつきます。履物や刃物、ハンカチ、現金や商品券のように意味あいで誤解を生む品は目上の方には避け、公務員や公立校の先生など受け取りにくい立場の相手には贈らない――この線を知っておけば、大きな失礼は防げます。
そして、お中元は一度きりではなく毎年続けていく夏のごあいさつです。だからこそ、無理のない範囲で始め、続けるのが難しくなったら段階を踏んで区切る。一度だけのお礼なら表書きを「御礼」にする。こうした続け方の心づかいが、相手との関係を長く穏やかに保ちます。
マナーの勘どころがつかめたら、あとは相手に合った品を選ぶだけです。贈る時期の地域差や掛け紙の整え方とあわせて確認しておくと、より安心して贈れます。具体的な品は、お中元のテッパンギフト一覧で見くらべてみてください。