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乳歯入れは、名前を入れて渡せるので、その子だけのものになります。親の側では後回しになりやすい品で、最初の一本が抜けた日に、入れるものがなくて慌てる家もあります。先回りして用意しておけるのが、この品の喜ばれるところです。
乳歯入れがまず分かれるのは、何でできているかです。桐の箱は湿気を吸ったり吐いたりして、中を一定に保ちます。プラスチックやアクリルのものは汚れに強く、落としても割れにくく、値段も下がります。見た目の好みだけでなく、置き場所によってどちらが向くかが変わります。
知っておきたいことがもう一つ。最初の一本が抜けるのは五歳半から六歳ごろで、全部生え変わるのは十歳から十二歳ごろです。出産祝いに渡すなら、六年ほどしまわれてから、そこから五年かけて埋まっていく箱になります。
赤ちゃんの歯は生後四か月から六か月ごろに生え始めて、二歳ごろに二十本そろいます。そこからしばらくは何も起きません。動き出すのは五歳半から六歳ごろ、まず下の前歯の二本がぐらついて抜けます。
そのあと、その横の歯と上の前歯が続きます。八歳ごろでいったん落ち着いて、残りの奥歯が入れ替わるのは十歳から十二歳ごろ。最初の一本から最後の一本まで、五年前後かかることになります。区画が二十に分かれている箱は、この二十本を全部残す前提で作られています。
出産祝いとして選ばれることの多い品ですが、実際に使い始めるのは六歳前後です。渡してから何年も、箱は開けられないまま棚に置かれることになります。
そこで効いてくるのが、名前と生まれた日を入れられる作りです。歯が入っていない期間も、名前の入った箱として置いておけます。入学の祝いに合わせて渡すという手もあって、こちらなら受け取って一年もしないうちに最初の一本が入ります。
区画が歯並びの形に並んでいる箱は、抜けた歯をどこに入れるかで迷いません。前歯の位置から順に埋まっていくので、どの位置の歯がもう抜けたのかが、蓋を開けた瞬間に分かります。大小の穴に分けてあるものは、小さいほうが前歯、大きいほうが奥歯です。
区画のない箱もあります。まとめて入れる作りなので、どの歯だったかは分からなくなりますが、そのぶん小さく作られています。全部を残すつもりがない家や、置き場所を取りたくない家には、こちらのほうが収まります。
二十本を並べる箱は、それだけの面積が要ります。手のひらに収まる大きさで売られているものは、区画を減らすか、重ねる作りにしたものが多くなります。引き出しにしまうのか、棚に出しておくのかで、選べる大きさが変わってきます。
日本で着物や書画をしまう箱に桐が使われてきたのは、湿気の多いときに吸い、乾いたときに吐いて、中の状態を一定に保つからです。虫にも強く、木のなかでは軽い部類に入ります。十年単位で置いておく箱として理にかなっています。
ただし、桐が受け持てるのは部屋の中のふつうの湿り気までです。夏の押し入れの奥のように、高温多湿が続くところに置けば、箱のほうにカビが出ます。直射日光の当たらない、風の通る場所に置いてもらう前提の素材です。「防カビ」と書かれたものが並ぶのは、この心配が実際にあるからです。
もう一方の系統が、プラスチックやアクリルで作られたものです。水気や汚れに強く、手垢が付いても洗えます。桐より安く、色や形の種類もずっと多くなります。歯の形をしたもの、動物の形をしたもの、中身が透けて見えるものまであります。
子ども自身が触って開け閉めする箱でもあるので、落としても割れにくいという点は小さくありません。相手が木の質感にこだわらないとき、あるいは子どもが自分で管理する年齢に近いときは、こちらのほうが実際に使われます。
同じ乳歯入れでも、値段には数倍の開きがあります。差になっているのは、まず素材です。国産の桐を使ったものは高くなり、プラスチックのものは下がります。
そこに、蓋の飾りが乗ります。絵柄を印刷したもの、石を貼ったもの、金の箔を使ったもの。名入れは多くの店が費用を上乗せせずに引き受けているので、値段の開きは素材と飾りで説明がつきます。中の作りの差は、値段より先に「何が入るか」に出ます。
歯だけを入れる箱と、ほかのものも入る箱があります。へその緒を入れる場所が別に付いたもの、初めて切った髪を入れる袋が付いたもの、上下二段になっていて母子手帳まで収まるもの。この三つが、歯だけの箱の隣に並んでいます。
へその緒が病院で渡された容れ物のままになっている家なら、乳歯入れと一緒に一つにまとめられます。すでに桐のへその緒入れがある相手なら、歯だけの箱で足ります。相手の家に何が残っているか分からないときは、歯だけのものを選んでおくほうが重なりません。
歯の横に、抜けた日と年齢を書き込める板や紙が入っているものがあります。書いておけば、どの歯がいつ抜けたのかが残ります。書く場所のない箱なら、家の側でメモを添えることになります。
写真を入れられる窓の付いたものもあります。歯が入るまでの数年間、写真だけ入れて置いておけるので、渡してすぐ使ってもらえる形です。立てて置ける作りのものもあり、こちらは棚に出しておく前提。しまい込む箱として渡すのか、見えるところに置いてもらう品として渡すのかで、選ぶものが変わります。
名入れができる商品が多く、追加の費用なしで引き受けている店もあります。名前と生まれた日を彫ってあれば、渡した瞬間から記念の品になり、しまい込まれても中身が分かります。
一方で、名前を入れた箱は下の子には回せません。きょうだいのいる家、あるいはこれから増える可能性のある家へ贈るなら、同じ商品をもう一つ足せるかどうかを見ておくと安心です。同じ形のものがもう一つ買えるなら、後から並べたときに形はそろいます。名前を伏せて渡したいときは、彫らないものを選ぶこともできます。
日本には、下の歯が抜けたら屋根の上へ、上の歯が抜けたら縁の下へ投げるという言い伝えがあります。次の歯がその方向へまっすぐ生えるように、という願いを込めた習わしです。
いまは、投げる家と箱に残す家の両方があります。集合住宅では屋根にも縁の下にも投げようがないので、残すほうを選ぶ家が増えました。相手がどちらなのかは渡す前には分かりませんが、歯を全部入れなくても、名前と生まれた日の入った箱としては残ります。その形で渡して差し支えありません。
決めるところは、素材と、中の作りと、名入れ。そこに、いつ渡すかが重なります。
素材は、桐か、プラスチックやアクリルかで分かれます。桐は湿気を吸って吐き、虫にも強い代わりに、高温多湿のところに置けば箱のほうにカビが出ます。もう一方は汚れに強く、落としても割れにくく、値段の幅も下のほうまで届きます。子どもが自分で開け閉めするなら、そこに意味があります。
中の作りは、二十本ぶんの区画があるかどうかから見ます。区画があれば、抜けた歯を前歯の位置から順に入れていけます。へその緒や産毛の場所、抜けた日を書ける欄、写真の窓が付いたものもあります。相手の家に何が残っているかで、要る場所が変わります。
名前を入れると、その子のものになります。しまい込まれても中身が分かる一方で、下の子には回せません。きょうだいがいるなら、同じものをもう一つ足せるかどうかを見ておくことになります。
出産祝いに渡すなら、桐に名前を彫ったものを。六年しまわれても、名前の入った箱としてそのまま置いておけます。入学の祝いなら最初の一本がもう近いので、区画が二十に分かれたものを選んでおけば、すぐに一つ目が埋まります。子どもが自分で出し入れする家には、落としても割れないアクリルのものが、いちばん気兼ねなく渡せます。
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