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扇子は、無くても困らないものです。持っていなくても夏は越せるので、自分のためには買わないまま何年も過ぎることがあります。人からもらってはじめて鞄に入る道具です。
もらったあとは、暑い日に何度も開くことになります。持ち歩けば毎日のように手に取るのに、自分では買い足さない。そこが、贈り物として選ばれてきた理由です。
最初の分かれ目は、風を送る道具として渡すのか、手に持つものとして渡すのかというところです。同じ扇子でも、この二つでは選ぶものが変わります。
商品ページに「7寸30間」のように書かれていることがあります。前の数字が閉じたときの長さ、後ろの数字が骨の本数です。この二つは別のことを決めているので、片方だけを見ても選べません。
寸は閉じた状態の長さを指します。1寸がおよそ3センチなので、6寸5分でおよそ20センチ、7寸5分でおよそ23センチです。この1寸の差が、昔から婦人用と紳士用の呼び分けになってきました。
数字が大きいほど扇面も広くなるので、一度に送れる風の量が増えます。そのかわり、閉じたときの長さも伸びます。小さい鞄に入れて持ち歩く相手なら、短いほうが収まります。
そのあいだにある7寸、およそ21センチのものは、男女を分けずに使われます。商品名に「男女兼用」「ユニセックス」と書かれているものは、たいていこの大きさです。
相手の手の大きさが分からないときや、夫婦や親子に一組ずつ渡すときに、この寸を選んでおくと迷いが減ります。
気を付けたいのは、紳士用・婦人用という言い方が、性別を指しているわけではないところです。大きさを分けるための呼び名なので、男性が婦人用の寸を持っても、女性が紳士用の寸を持っても差し支えありません。
手の小さい男性が6寸5分を選ぶことも、大きく開きたい女性が7寸5分を選ぶこともあります。呼び名に縛られず、手の大きさと柄の好みで選べます。
間は骨の数の単位です。11間から35間くらいまでの幅があり、数字が大きいほど骨が細かく並びます。
骨の多いものは、同じ力であおいでも強い風が起きます。あおぐための扇子に35間が使われるのはそのためです。逆に骨が少ないと、山折りと谷折りの間隔が広がるぶん、描かれた絵が大きく見えます。柄を見せる扇子は骨を減らし、風を送る扇子は骨を増やす、という作り分けです。
骨に張ってある面のことを扇面といいます。ここに何を使うかで、扇子は二つに分かれます。同じ寸と間でも、この違いのほうが手に持ったときの印象を決めます。
和紙を使ったものは、骨の前と後ろの両方に紙を貼ります。面がふさがっているので、あおいだときに送れる風は、こちらのほうが強くなります。
紙は破れそうに思えますが、折りを重ねた和紙は丈夫で、開け閉めを繰り返しても持ちます。柄は落ち着いたものが多く、和服に合わせる相手にはこちら側が向きます。
絹や革を使ったものは、片面だけに生地を貼ります。送れる風は紙より穏やかになるかわり、織りや染めの細かい柄を載せられます。
商品名に正絹、シルクと書かれているものがこちらです。花の名前が並んでいるものが多く、開いたときの見え方で選ぶ側になります。無地のものは色の数が多く、服の色に合わせて選べます。
骨には竹を使ったものが多くありますが、アルミを使ったものも並んでいます。金属の骨は細く作れるので、閉じたときが薄くなります。持ったときの手ざわりも、竹とははっきり違います。
竹の骨は握ったときに温かく、和柄の扇面と組み合わせたものが手ごろな値段で並びます。金属の骨は洋服に合わせても浮きにくいので、和装をしない相手に渡すならこちらも候補になります。
扇子は鞄の中で他のものとぶつかります。骨は細く、扇面は折り目で立っているので、裸のまま入れると角が傷みます。ここを埋めるものが、扇子と一緒に売られています。
扇子袋は、閉じた扇子をすっぽり収める細長い袋です。これがあると、鞄の中で骨が押されず、扇面に折り癖以外の跡が付きません。
袋やケースが付いた組み合わせで売られているものと、扇子だけのものがあります。袋だけを別に買い足す人は多くないので、持ち歩いてもらうつもりで渡すなら、はじめから袋の付いたものを選んでおくと、そのまま鞄に入ります。
骨の部分に名前を彫る加工が、扇子本体とは分けて売られています。扇子を選んでから彫刻だけを足す形なので、同じ品でも名前が入れば一本だけのものになります。
無料で名入れができると書かれたものもあります。ただし、名前が入ると返品も交換もできなくなり、相手の好みと外れたときに引き返せません。柄の好みが読めている相手にだけ使える手です。
桐箱に納めたものが並んでいます。箱に入っていると、渡すときに包みを解く手順が一つ増えるので、席で改まって渡す形になります。
逆に、その場で軽く手渡したいなら、箱の無いものに袋を添えるほうが収まります。長寿の祝いや記念の贈り物のように、渡す場面が決まっているときだけ、箱の有無が効いてきます。
無地のものか、市松のように季節を持たない柄が収まります。並んでいるものには桜、藤、紫陽花、菊と、季節の花を描いたものが多くあります。花の柄はそれ自体が美しいのですが、描かれた花の時期と扇子を使う時期がずれると、持ち出しにくく感じる相手もいます。
正絹の無地は色数が多く、相手がふだん着ている服の色に寄せて選べます。骨の色まで含めて黒や茶で通したものなら、和装にも洋服にも合わせられます。
商品名には、敬老の日、母の日、父の日、誕生日、記念日といった語が並んでいます。暑い季節だけの品として売られているわけではありません。
ただ、受け取った相手が実際に開くのは暑くなってからです。春のうちに渡しておけば、その年の夏から使ってもらえます。秋や冬に渡すぶんには、翌年の夏に向けた贈り物として受け取ってもらえますが、いちばん出番が近いのは暑くなる前です。
扇子の商品名に並ぶ二つの数字は、別のことを決めています。寸は閉じたときの長さで、6寸5分が婦人用、7寸5分が紳士用、そのあいだの7寸が男女どちらでも持てる大きさです。間は骨の本数で、多いほど強い風が起き、少ないほど描かれた絵が大きく見えます。
扇面が紙なら骨の両面に貼ってあり、風がよく起きます。布なら片面貼りで風は穏やかになるかわり、織りや染めの細かい柄が載ります。あおぐ道具として渡すのか、開いたときの見え方で渡すのかが、ここで分かれます。
袋が付いているかどうかは、鞄に入れてもらえるかを決めます。名入れの彫刻は扇子とは別に頼めますが、名前が入ると引き返せなくなるので、相手の好みが読めているときの手です。
一本だけ選ぶなら、7寸で骨の多い紙の扇面、竹の骨、扇子袋の付いたものを。7寸なら手の大きさで外さず、骨が多いので風が起き、紙は開け閉めを繰り返しても持ちます。柄で外したくないなら、同じ7寸のまま正絹の無地へ振り替えると、風は一段穏やかになるかわり、相手が着ている服の色に寄せて選べます。
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