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香水は、身につけて出かければ、その日いちにち相手のまわりに残ります。毎日使ってもらえて、自分では買わない値段のものを持ってもらえます。贈る理由は、そこにあります。
ただ、好みの幅がはっきり出るものでもあります。香りが合わなければ、100ミリリットルの瓶が開けられないまま残ります。選び方も、渡す量も、そこを見越して決めることになります。
最初に見るのは、瓶に書かれた数文字です。EDT、EDP、コロン。ここに香りの濃さと持続時間が出ていて、同じ名前の香水でも、文字が違えば別の商品になります。
香料をどれだけ入れてあるかで呼び名が決まります。いちばん濃いのがパルファムで、そこからオードパルファム、オードトワレ、オーデコロンの順に薄くなっていきます。
商品名のEDPはオードパルファム、EDTはオードトワレの略です。コロンとだけ書かれているものはオーデコロンにあたります。オードパルファムなら五、六時間ほど香りが続き、オーデコロンは一、二時間で消えます。オードトワレはその中間です。
同じ名前の香水でも、オードトワレとオードパルファムの両方が出ていることがあります。容量だけを見て安いほうを選ぶと、濃さのほうが変わってしまいます。
香りが長く続くのは、濃いほうの利点です。ただし、その日の途中で消えないということは、途中で切り替えられないということでもあります。
職場や電車の中、食事をする場所のような閉じた空間では、オードトワレくらいの濃さまでが使われます。結婚式や夜に出かける場面なら、オードパルファムでも収まります。相手が一日をどこで過ごす人かで、渡すべき濃さが変わります。毎日の通勤に使ってもらいたいなら、濃いものを選ぶとかえって出番が減ります。
ボディミストは香りが弱く、一時間ほどで消えます。肌の保湿を兼ねているので、香りをつけるというより、その手入れのついでに香る形になります。ヘアミストは、髪につけることを前提に作られたものです。
練り香水は、指で取って肌に押し当てます。吹きつけないので、まわりに飛ぶ量が少なくて済みます。香りの強いものを苦手とする相手や、職場で使ってもらう場面には、こうした形のほうが収まります。ただし、香水と同じ強さを期待して渡すと、届いたときに物足りなく感じられます。
瓶を開けた瞬間と、肌にのせた直後に立つのがトップノートです。柑橘やグリーン系のように、軽くて飛びやすい香りが置かれることが多く、その香水の第一印象を作ります。
ここは長く続きません。店で一嗅ぎして「いい匂いだ」と思うのは、たいていこの部分です。そこだけで決めると、夕方には想像していなかった香りが残っている、ということが起こります。
つけてから30分ほどで立ち上がり、二時間ほど経つまで続くのがミドルノートです。商品名になっている花や果実の香りは、たいていここに置かれています。揮発の速さがゆるやかなので、その香水らしさがいちばん出る時間になります。
相手が誰かと会っているあいだ、まわりに届いているのもミドルノートです。選ぶときに合わせるべきなのは、トップではなくミドルのほうになります。
二時間ほど経ってから、消えるまでのあいだに残るのがラストノートです。飛びにくい香料が使われるので、いちばん長く肌に留まります。
別れ際にすれ違ったときに香っているのは、この部分です。トップが華やかでもラストが重い香水はありますし、トップが控えめでラストに厚みの出るものもあります。三つの繋がり方が、その香水の性格になります。
店で試香紙に吹きかけて時間を置けば、三段階を追うことはできます。ただし追えるのは、その場で試したぶんだけです。相手が朝つけて夕方までどう過ごすかまでは、渡してみるまで確かめようがありません。
だからこそ、いきなり大きい瓶を渡さない、という選び方が出てきます。合わなかったときに、相手が使い切る義理を負わずに済む量から始めることになります。
1.5ミリリットルや2ミリリットルの小瓶を何本かまとめたものが、ブランドから出ています。香りの違うものを組んだセットなら、相手はそのなかから好きなものを選び、気に入れば自分で本体を買えます。
渡す側は一本に決めきらずに済みます。相手の好みをまったく聞けていないときは、この形がいちばん角が立ちません。旅行や出張に持っていける大きさなので、家に置いたままにもなりません。
一つの香水に、5ミリリットルほどのものから200ミリリットルまで並んでいることがあります。30ミリリットルあたりまでなら、かばんに入れて持ち歩ける大きさです。出先でつけ直せるので、香りの薄いものを選んだときにも使い方が残ります。
100ミリリットルを超えるものは、洗面台や寝室に置いておくものになります。使い切るのに一年以上かかることもあるので、相手がその香りをすでに気に入っていると分かっている場合の選び方です。相手が今つけている香水の名前を言える間柄なら、大きい瓶でも外れません。
瓶に名前や日付を刻めるものがあります。記念に渡すなら、香りが無くなったあとも瓶が残ります。
ただし、刻んだ時点でその人のものになります。香りが合わなかったとき、家族や友人に回すことができなくなるので、初めて贈る一本には向きません。刻印を選ぶなら、相手が使っている香りが分かってからです。
商品名に香りの名前が書かれているので、そこから絞ります。せっけん、シャンプー、ホワイトティーといった言葉が入っているものは、その匂いに寄せて作られています。ふだん嗅いでいるものに近いので、香水をつけ慣れていない相手でも、届く前から想像がつきます。
柑橘やベルガモットの名前が入っているものは、つけた直後が軽くなります。ただし、そうした香りはトップに置かれることが多いので、時間が経つと商品名から想像したものとは違う香りが残ります。名前だけで決めず、ミドルとラストに何が使われているかまで読むと、外れが減ります。
季節や出かける先で使い分けている人は多く、夏は軽いもの、冬は重いものというように持ち替えます。二本目が余るとは限りません。
とはいえ、同じ濃さで同じ系統のものが二本になると、片方は減らなくなります。相手が使っているものを知っているなら、そこから遠い系統を選ぶか、濃さの違うものを選ぶと役割が分かれます。今つけているのがオードパルファムなら、日中に使えるオードトワレへ寄せる手もありますし、香水とは別の形のボディミストや練り香水にしておく手もあります。
濃さ、香りの流れ、渡す量。この三つで、渡したあとの収まりが変わります。
濃さは商品名の数文字に出ています。パルファム、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンの順に薄くなり、持続時間も短くなります。毎日の通勤で使ってもらうなら、濃すぎないほうが出番が増えます。香水のほかに、ボディミストや練り香水という形もあります。
香りは、つけてから三段階で変わります。店で嗅いで気に入るのは最初の10分ぶんで、相手のまわりに長く届くのはミドルとラストです。商品名になっている香りがどの段階に置かれているかまで読むと、渡したあとの見当がつきます。
部屋に置くものなら、相手の好みが外れても人前に出ずに済みます。
そのうえで香水を選ぶなら、好みを聞けていない相手には、小瓶を何本か組んだセットを。今つけている香水の名前を言える相手なら、30ミリリットルほどの持ち歩ける瓶を、濃さだけ確かめて。刻印は、その次に贈るときまで待ちます。
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