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手元が見えにくくなっても、たいていの人は一本で済ませています。居間に置いたまま台所で困り、鞄に入れ忘れて店先で困る。何本あっても困らないので、すでに持っている相手にも渡せます。
選ぶときに最初に決まるのは、度数です。「+」の付いた数字が並んでいて、数字が大きいほどレンズの力が強くなります。この数字は年齢で決まるものではなく、その人がいま何センチ離して字を読んでいるかで決まります。
度数は「+1.0」「+1.5」「+2.0」と、0.5ずつ上がっていきます。よく並んでいるのは+1.0から+2.5あたりで、その範囲の外まで刻みを伸ばしているものもあります。0.25刻みで用意している店もあります。
数字が大きいほど、レンズの力が強くなります。強いほどよく見えるわけではありません。度数が上がるほど、はっきり見える距離が手前に寄って、範囲も狭くなります。
年齢は目安にはなりますが、決め手にはなりません。40代の前半で+1.0、40代の後半で+1.5あたり、50代で+2.0から+2.5というのは、あくまで平均の話です。
確かなのは、いま字をどれだけ離しているかです。40センチから50センチ離して読んでいるなら+1.5、50センチを超えて60センチまでなら+2.0、60センチ以上離さないと読めないなら+2.5。腕を伸ばして新聞を読んでいる相手なら、そこそこ強い数字が要ります。
既製のものは、右も左も同じ度数です。レンズの焦点の位置もあらかじめ決まっています。左右の見え方が揃っている人なら、既製のもので足ります。
左右で見え方が違う人には合いません。乱視も入っていないので、乱視のある相手が掛けると、字がぶれて見えます。眼鏡店なら、黒目の間隔も左右の差も乱視も入れて作れます。相手が眼鏡店で作った老眼鏡を使っているなら、贈るのは予備の一本という位置づけになります。
同じ数字でも、レンズの表面の作りで見え方が変わります。中央から端まで同じ曲がり方をしたものは、端のほうで像が歪みます。曲がり方を場所ごとに変えてあるものは、その歪みが小さく、レンズも薄く仕上がります。度数の強い一本ほど、この差が大きくなります。
老眼鏡は、掛けている時間より外している時間のほうが長い道具です。値札を見るときだけ、レシートを確かめるときだけ掛けて、また外す。そのたびに置き場所を作ることになります。
フレームの中央で磁石が外れて、そのまま首に掛かる形のものがあります。外したあとの置き場が決まっているので、置き忘れも机の上での行方不明も起きません。掛け外しの多い相手には、これがいちばん効きます。
畳んで小さくなるものは、持ち歩く相手に向きます。平たく折れるものなら、読みかけの本に挟んでおけます。出かけるたびに鞄へ移し替える手間も要りません。
そのかわり、蝶番の数が増えるぶん、開け閉めの動きが増えます。指先の力が落ちてきた相手には、畳まない形のほうが扱いやすくなります。
居間の同じ場所に置いて、そこでしか使わない相手もいます。その場合は持ち運びの工夫が要らないので、掛けたときの軽さと、顔に当たる部分の当たり方で選びます。
縁のないものは軽く仕上がりますが、レンズを直接ねじで留めているので、力の掛かる扱いには向きません。金属の細い縁も、同じように力に弱くなります。落とすことが多い相手には、軽さより、縁のはっきりしたものが安心です。
入れものが付いているかどうかも見どころです。持ち歩く相手なら、最初から付いているほうが助かります。据え置きで使う相手は置き場が決まっているので、無くても困りません。付いていない一本を選んだなら、入れものを添えて渡すという形も取れます。
本や新聞は、腕の届く先で開きます。針に糸を通す、爪を切る、細かい部品をつまむといった作業は、それより近くで手を動かします。同じ人でも、この二つで合う度数が変わります。
作業のための一本を贈るなら、読書用より一段強い数字が要ります。逆に、読書用の数字で手元の作業をすると、顔を近づける姿勢になって首が疲れます。相手のどの時間を楽にしたいのかで、同じ人でも数字が動きます。
パソコンの画面は、本より遠いところにあります。机に向かって腕を伸ばした先です。読書用の度数は、そこより手前に合うように作られているので、画面はぼやけます。
画面のための一本を選ぶなら、読書用より弱い数字に振ります。台所で手元を見るのか、机で画面を見るのか、居間で新聞を読むのか。この三つはそれぞれ距離が違うので、一本では三つとも賄えません。
上を見ると遠く、下を見ると近くが見えるように作られたものがあります。掛け替えずに済むかわりに、視線の高さで見え方が変わるので、慣れるまでは足元が揺れるように感じます。
初めての一本には向きません。もう何本か使っていて、掛け替えを面倒がっている相手なら、次の一本として意味があります。初めて渡す相手には、近くだけがはっきり見える一本のほうが、その日から使ってもらえます。
普段から近視や遠視の眼鏡を掛けている相手には、外して掛け替える手間が付いて回ります。その眼鏡の上から重ねられる形のものなら、外さずに手元だけを大きくできます。
顔から浮く作りなので、掛けたまま歩く道具ではありません。座って手元を見る時間のためのものです。度数を当てにくい相手でも、この形なら外しません。
聞ける間柄なら、いま使っているものを見せてもらいます。つるの内側に度数が刻んであることがあります。同じ数字を選べば、二本目として確実です。
聞けないときは、弱いほうへ振ります。強すぎるものは近すぎるところにしか合わず、掛けた瞬間に使えないと分かります。弱いほうなら、少し近づければ読めます。合わなかったときに取り替えられるかどうかも、商品のページに書いてあります。
商品の名前としては、リーディンググラス、シニアグラスといった呼び方も使われています。同じものを指していますが、受け取る側の感じ方は変わります。
年齢に触れられるのを嫌う相手なら、渡すときの一言や、包みに添える紙では、そちらの呼び方を使えば角が立ちません。老眼鏡に見えない形を選ぶという手もあります。首から掛かるものや、色に手の入ったものなら、道具というより小物として渡せます。
決めるのは、度数と、掛け外しの回数と、何を見るための一本かの三つです。度数は年齢ではなく、その人が字を離している距離から当てます。分からなければ弱いほうへ。
出かける先で使う相手には、首から掛かるものか、平たく畳めるものを。居間の同じ場所で新聞を読む相手には、掛けたときに軽いものを。よく落とす相手なら、軽さより縁のはっきりしたものが持ちます。手芸や爪切りのように近くで手を動かす相手には、読書用より一段強い数字を。
すでに一本持っている相手なら、置き場所の違う二本目が効きます。台所と机では見る距離が違うので、同じ数字でなくて構いません。
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