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電気圧力鍋が台所に一つ増えると、贈った相手の夕飯の作り方がその日から変わります。かたまり肉を煮込む、豆を戻して炊く、魚を骨ごとやわらかくする。火のそばに立ち続けないと作れなかったものを、材料を入れてふたを閉めるところまでで手を離せます。棚に上がったまま出てこない家電もありますが、これは毎日の夕食にそのまま入ってきます。
選ぶときにまず決まるのは大きさです。1リットル台から5リットル前後まで幅があり、ここで作れる量も、台所に置いたときの場所の取られ方も変わります。相手の台所に空いているところがあるかどうかが、機能より先に来ます。
そのうえで圧力の高さと、できることの幅が付いてきます。どちらも数字が大きいほどよい、という並び方ではありません。
商品名に出ている「3リットル」「4リットル」は満水容量で、鍋の縁まで水を張ったときの量です。圧力をかけて調理するときは、そこまで入れられません。目安は容量の3分の2以下。3リットルの表示なら、実際に作れるのは2リットルほどです。
そのため、人数から選ぶときの目安は一段階上へずれます。人数に1リットル足したあたりで、一人なら2リットル、二人なら3リットル、三人なら4リットル、四人なら5リットル。表示の数字をそのまま鍋に入る量だと思って選ぶと、渡したあとで小さかった、という話になります。
2リットル以下は、一度に作って食べきる量です。作り置きをして翌日も食べる家、来客のある家なら4リットル前後まで見ておくと足ります。カレーや煮物を大鍋で作る習慣がある相手に、小さいものは物足りません。
圧力の高さはキロパスカルという単位で書かれます。数字が大きいほど鍋の中の圧力が高く、そのぶん中の温度も上がるという読み方をします。高い側は70から100を超えるあたり、低い側は20から40あたりで、この高低で仕上がりが逆を向きます。
高いほうは温度が上がり、厚い肉や魚の骨まで短い時間でやわらかくなります。すね肉の煮込み、豚の角煮、いわしの骨まで食べる煮付け。こういうものを作る相手には、高い側が効きます。そのかわり、煮崩れしやすい食材はかたちが残りません。
低いほうは温度が下がるぶん時間がかかりますが、野菜が煮崩れせず、米もふっくら炊けます。肉じゃがや筑前煮のように、切ったかたちを残したい料理を作る相手には、こちらが向きます。料理によって圧力を切り替えられるものもあるので、作るものが一つに決まらない相手なら、切り替えのある側が使いやすいでしょう。
「1台9役」「1台12役」といった表示が並びます。中身は、圧力調理・無水調理・低温調理・発酵・炊飯・蒸し・保温・温め直し・焼きといったものです。
数だけを見比べても差になりません。同じ機能を一つに数える会社と、二つに分けて数える会社があるからです。温めと保温を分ければ二つ、まとめれば一つ。10役と12役のあいだに、機能の差が二つぶんあるとは限りません。
見るのは数ではなく、相手が実際に使うものが入っているかどうかです。ヨーグルトを作る相手なら発酵、鶏むね肉をしっとり仕上げたい相手なら低温調理、米を炊く量が多い相手なら炊ける米の量。米は「3合」「6合」という合数で書かれていて、一度に炊ける量を指します。この三つのどれも使わない相手に役の多いものを渡しても、数字が余るだけです。
ガスやIHにかける圧力鍋は、加圧が始まったら火加減を調節します。おもりの動きや音を見ながら弱めて、時間を計って、火を止める。その間、鍋から離れられません。
電気のものは、材料を入れてふたを閉め、スイッチを押したところで手が空きます。加圧も、時間の管理も、圧力を抜くところまで本体がやります。空いた時間で別のおかずを作る、洗濯物をたたむ、家を出る。同じ煮込みでも、作る人が台所にいる時間がまるで違います。
動いている音が静かなことも、火にかける圧力鍋との差です。おもりが揺れる音も、蒸気が抜ける音も出ません。小さい子が寝ている家、集合住宅で夜に煮込みたい家では、この差が効いてきます。
手が離れる時間は長くなりますが、出来上がるまでが早いわけではありません。圧力が上がりきるまでに10分から20分。加圧が終わったあとも、圧力が下がるまで蒸らす時間が要り、料理によって10分から40分ほどかかります。
商品の説明にある「加圧10分」は、この前後を含んでいません。表示の数字だけを見て、帰ってから作れば夕飯に間に合うと思うと、食べ始めるのは1時間近くあとです。「時短」という言葉が指しているのは、手が離れている時間の長さであって、出来上がるまでの早さではありません。
ここを取り違えたまま渡すと、受け取った相手が拍子抜けします。渡すときに、火のそばに立たなくて済む道具だと伝えておくほうが、実際の使われ方に近づきます。
朝のうちに材料を入れておき、帰る時刻に合わせて出来上がるようにできるものがあります。出来上がるまでが長いという弱みも、家にいない時間に重なれば消えます。
保温が付いていれば、家族が別々の時刻に帰ってくる家でも回ります。部活や塾で食事の時間が読めない家なら、ここが効いてきます。
反対に、家にいる時間が長く、思い立ってから作る相手なら、予約はあまり使われません。相手の一日の動き方で、この機能が生きるかどうかが変わります。帰りの遅い相手に渡すなら、予約の時刻をどこまで先に設定できるかまで見ておくと確かです。
電気圧力鍋は、炊飯器ほどの面積を台所に取ります。棚にしまうと、出して据えて片づける手間が毎回かかり、そのうち使われなくなります。使い続けている家は、たいてい出したままにできる場所を確保しています。
贈り物としては、置き場所でいちばん先に詰まります。機能をどれだけ選んでも、置く場所がなければ箱から出ない道具になります。相手の台所を見たことがあるなら、炊飯器の隣に一台ぶんの空きがあったかどうかを思い出すところです。見たことがないなら、小さいものへ寄せておくほうが収まります。
置き場所と容量は、受け取った相手が選び直せない部分です。機能が合わなければ使わない機能として済みますが、大きさが合わなければ道具ごと使われません。ここだけは相手の台所のほうが先で、機能はそのあとです。
洗うのは内なべだけではありません。内ぶた、ふたのパッキン、蒸気の抜ける口も、使うたびに外して洗います。カレーや魚の煮付けのようににおいの強いものを作ると、ここに残ります。
パッキンはゴムなので、無理に引っ張ると傷みます。傷んだまま使うと、加圧したときに中身が吹き出すおそれがあるので、扱いに気を使う部品です。
部品の数がそのまま手間の量になるため、そこを売りにしている製品があります。商品名に「お手入れ3点」と出ているのは、洗うものが3つで済むという意味です。料理は好きだが片づけは苦手、という相手には、機能の数よりこちらの数のほうが効きます。
本体に自動メニューが入っているもの、紙のレシピが付いてくるものがあります。ボタンを選ぶだけで、加圧の時間も圧力も本体が決めます。
圧力鍋を使ったことがない相手には、ここが効きます。手元に作るものが並んでいないと、最初の一台は動き出しません。思いつく献立が角煮とカレーで尽きて、そこから先が増えないまま出番が減る、という止まり方をします。自動メニューやレシピは、その先を埋めるためのものです。
普段から鍋で煮込みを作っている相手なら、自動メニューはあまり使われません。その場合は、圧力の切り替えや容量のほうへ寄せて選びます。相手が料理を始めたばかりか、もう何年もやっているかで、同じ値段でも見るところが変わります。
炊飯はできます。商品名に3合、4合、6合といった合数が書かれているのはそのためで、白米も玄米も炊けます。ただし鍋は一つしかないので、ご飯を炊いているあいだは煮込みができません。炊飯器を置き換える道具ではなく、隣にもう一台という形になります。
毎日ご飯を炊く家なら、炊飯器はそのまま残ります。夕飯の支度で、ご飯と煮物を同時に進めることになるからです。置き場所が二台ぶん要るので、そこが空いているかどうかが、渡す前の判断になります。
一人暮らしを始めたばかりで炊飯器を持っていない相手なら、話が変わります。ご飯と煮込みを同じ時刻に作らずに済むなら、一台で兼ねられるからです。その場合は合数の表示から選べます。炊く量が少ない相手ほど、小さい容量で足ります。
台所に置く場所があるか、作る量はどれくらいか、相手が何を煮るか。そこに、手が離れる時間と洗う部品の数が乗ってきます。
表示の容量は鍋の縁まで入れた量なので、実際に作れるのはその3分の2ほど。人数に1リットル足したあたりを目安にすれば、渡したあとで小さかったという話になりません。
圧力の高さは、高いほど肉や骨がやわらかくなり、低いほど野菜のかたちが残ります。角煮を作る相手と煮物を作る相手では、選ぶ側が逆です。「1台何役」の数は会社ごとに数え方が違うので、数ではなく、相手が使う機能が入っているかどうかで見ます。
早くなるのは出来上がるまでの時間ではなく、台所に立っている時間です。圧力が上がるまでと蒸らしを足せば、食卓に出るのは思ったより後。ここは渡すときに一言添えておくと、受け取り方がずれません。
作り置きをして翌日も食べる家には、予約と保温の付いた4リットル前後を。一人暮らしを始めた相手には、炊飯まで兼ねられる2リットル前後を。角煮やすね肉を煮る相手には圧力の高いものを。片づけを面倒がる相手になら、洗う部品が3つで済むものが、いちばん長く台所に残ります。
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