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渡してから何か月も、置き場所がよければ二、三年、相手の部屋に残るのがソープフラワーです。水を替える手間も、枯れて捨てる日もありません。花瓶を出す必要もないので、花を飾り慣れていない相手にも渡せます。
まず決めるのは、飾ってもらうものを渡すのか、洗って使ってもらうものを渡すのかです。名前に「ソープ」と付いていますが、ほとんどは飾るためのもので、風呂で使えるものは別に探すことになります。
同じソープフラワーでも、渡す場面によって向き不向きが出ます。石けんという素材そのものに意味があるぶん、同じ花を持って行っても、歓迎される席と、避けたほうがよい席とがあります。
ソープフラワーは、花びらの一枚一枚を石けん素材で作った造花です。生きた植物は使っていないので、水やりも肥料も要りません。素材そのものに厚みがあるぶん、生花より色がはっきり出ます。
ただし、石けんの素材でできてはいても、その主成分に洗う働きがありません。名前の「ソープ」は材料を指しているだけで、用途を表していません。市販のソープフラワーのほとんどは、飾るためだけに作られています。
風呂の石けんや入浴剤として本当に使えるバスタイプは、別のものとして売られています。使い切ってもらうつもりで渡したいなら、商品ページに入浴剤として使えると書いてあるかどうかで見分けることになります。
見た目のほうは、置き場所さえよければ数か月から二、三年もちます。ところが香りは早く、数週間から三か月ほどで薄れていきます。
香りを楽しんでもらえるのは、届いてしばらくのあいだだけです。長く置いてもらうなら、香りが抜けたあとの姿のほうで選ぶことになります。
包みを開けた瞬間を見せ場にしたいのか、置いたあとの何年かを取りたいのか。前者なら香りの立つものを選べば足りますし、後者なら相手の置き場所のほうが先に効いてきます。
同じ「枯れない花」として並ぶプリザーブドフラワーは、生花に手を加えたものです。色素を抜いてから染め直しているので、出発点が本物の花になります。
ソープフラワーのほうは、生花を一本ずつ加工する必要がありません。工場でまとめて作れるぶん売値が安く、同じ予算でも花数の多い束が買えます。
届いた当初に香りがあるのは、ソープフラワーのほうだけです。プリザーブドフラワーには香りがありません。匂いのある花を渡したいのか、匂いのしない花を渡したいのかで、探すジャンルが分かれます。
石けんは「清める」「リセット」の意味を持つ品として扱われてきました。そこから、新しい門出を応援する贈り物という位置づけが付いています。仕事を離れる日、学校を出る日、店を開く日に持って行きやすいのは、この意味づけがあるからです。
水が入っていないぶん、受け取った人はそのまま持ち帰れます。送別会や発表会のように、その場で手渡してすぐ解散する集まりとは相性がいい花です。
病室に強い香りを持ち込むと、周りの人に迷惑がかかることがあります。病室は相手ひとりの部屋とは限らないので、匂いは受け取った人の周りにも届きます。
香りが持ち味なのに、その香りを出してはいけない場所です。見舞いに花を持って行きたいなら、匂いのしない花を選ぶほうが無難です。
ソープフラワーには、供えるために組まれたものもあります。商品名に「お供え」「仏花」「初盆」と入っていれば、そちら向けに作られたものです。
生花の代わりに造花を供えること自体は、基本のところでは問題ありません。仏壇の花に枯れにくさが求められるのは、手入れをする人の負担を減らすためなので、水を替えなくてよい花はその考え方に合っています。
ただし、寺院や地域によっては生花以外を良く思わないことがあります。家として付き合いのあるお寺があるなら、造花を供えてよいかを渡す前に一度聞いておくほうが安全です。聞ける相手がいないなら、供える花としては選ばないという判断も残ります。
生花の花束は、そのままでは飾れません。茎を水に浸けないと保たないので、受け取った人はまず花瓶を用意することになります。
ソープフラワーには水を吸わせる必要がないので、その一手間が丸ごと消えます。花束の下に台座が付いていて、そのまま立てて置けるものもありますし、箱に収めたものなら、蓋を開けたところがそのまま飾りになります。
相手の家に花瓶があるかどうかを気にしなくてよいのは、この花の強みです。ただし、花瓶が要らないことと、どこにでも置けることは別の話になります。
石けんなので、水に濡れれば溶けて形が変わります。湿気の多い場所でも同じことが起きるので、浴室と洗面所は置き場所から外れます。暖房器具のそばも、熱で形が保てないため外れます。
名前に石けんと付いているぶん、つい水回りへ置きたくなるのが厄介なところです。名前に反して、水回りだけは置けません。
紫外線が当たり続けると、色が変わり、あせていきます。そのうえ花が硬くなって、ひびが入ります。染めた石けんなので、光には強くありません。
いつも窓辺に花を飾っている相手だと、その定位置がそのまま花を傷める場所になります。置き場所まで一緒に決められる間柄でないなら、そこは読みきれないところです。
冷えこむ場所や、極端に乾いた場所でもひびが入ります。日が入らないという理由で玄関や廊下を選ぶと、冬に今度はこちらで引っかかります。
置ける場所を言い直すと、直射日光が当たらず、高温多湿でもなく、風通しのよい室内。人が普段いる部屋の、窓から離れたところが当てはまります。
相手の家を思い浮かべて、そういう場所が出てこないようなら、この花は向いていません。
快気祝いの品には、病気を後に残さない、水に流す、という考えから、消えて無くなるものが選ばれます。石けんや洗剤、入浴剤が定番になっているのはそのためです。
その意味まで込めたいのなら、ソープフラワーは向きません。飾るためのものは消えないからです。込めたいなら、風呂で使えるバスタイプにするか、石けんそのものを渡すほうが筋は通ります。
意味づけまでは求めず、花の姿で渡したいだけなら、止める理由はありません。鉢植えの花が快気祝いで避けられるのは、根付くが寝付くに通じるからで、ソープフラワーには根も鉢もないからです。
飾ってもらう花なのか、使ってもらう石けんなのか。香りと姿のどちらを主にするのか。どの席へ持って行くのか。相手の家に置き場所があるのか。順に当てていけば、渡すものは絞れます。
ほとんどは飾るためのもので、洗う力は入っていません。使って無くなるほうに意味を持たせたい場面では、ソープフラワーそのものが選択肢から外れます。
香りは数週間から三か月で薄れ、姿のほうは数か月から二、三年残ります。開けた瞬間を取るなら香りの立つものを。置いたあとを取るなら、色のあせにくい場所を持っている相手を思い浮かべて選びます。
席で言えば、区切りの日には向き、お見舞いには向きません。供えるために渡すのなら、造花でよいかを先に確かめてからになります。
花瓶は要りませんが、どこにでも置けるわけではありません。窓辺にも水回りにも置けないので、そこしか空いていない相手には勧めにくくなります。
送別会や発表会のように、その場で手渡してすぐ解散する集まりなら、水も花瓶も要らないこの花がいちばん扱いやすくなります。区切りの日に、包みをその場で開けてもらう。香りがいちばん立つのはその瞬間なので、渡し方まで決めておくと生きてきます。
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