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包丁は毎日使うのに、切れなくなっても買い替えずに使い続けている家がほとんどです。切れない包丁を使うと力で押すことになるので、切れるものに替わるだけで、その日から台所仕事の手応えが変わります。それでいて、買うときは値段の安いもので済ませてしまう道具です。
選ぶときに最初に決まるのは、刃渡りです。同じ三徳でも、16センチと18センチでは、まな板の上での扱いやすさが変わります。
商品名に「ダマスカス」とあるものは、刃の芯に硬いステンレス鋼を置き、その外側に別の鋼材を何層も重ねて鍛えたものです。層の境目が表に出るので、波のような模様が浮かびます。模様は飾りではなく、重ねた層の境目がそのまま見えているものです。
芯によく使われるのが「VG-10」「V金10号」と書かれた鋼です。硬いので、一度研げば切れ味が長く続きます。層を重ねる手間がかかるぶん、ふつうのステンレスのものより値段が上がります。
ダマスカスと書かれていない金属のものは、ステンレスを一枚で仕上げたものです。数千円から手に入り、切れ味も家庭で使うには十分です。研ぎ直しながら何年も使えます。
同じステンレスでも、産地の名前が値段に出ます。「燕三条」「関」と書かれているのは、刃物を作ってきた土地の名前です。その名前や「日本製」の表記が入ったものは値が上がりますが、それで二倍になるほどではありません。
セラミックで作られたものは、85グラムほどと、金属のものの半分近い重さです。手首が弱くなってきた相手や、長く立って作るのがつらい相手には、この軽さが効きます。錆びないので、濡れたまま置いても傷みません。
かわりに、硬いものに当てると刃が欠けます。冷凍したものや骨は切れません。研ぐときも金属用の研ぎ器では刃が削れないので、作った会社に送って研ぎ直してもらうことになります。
「無料研ぎ直し」と書かれたものは、切れ味が落ちたら送り返して研いでもらえます。自分で研ぐ習慣のない家に贈るなら、この一行があるものを選ぶと、何年か先まで切れる状態で使ってもらえます。
研ぎ器を一緒に付けているものもあります。柄に名前を入れられるものもあり、名前を入れる場合は届くまでの日数が延びます。渡す日に間に合うかどうかを先に確かめることになります。名前が入ってしまうと、返品もできません。
「16.5cm」「165mm」と書かれているのは刃渡りで、柄の付け根から刃先までの長さです。柄まで含めた全体の長さではありません。18センチのものでも、柄まで入れれば全体は30センチ近くになります。
センチで書かれたものとミリで書かれたものが、商品名の中で混ざっています。「165mm」は16.5センチのことです。桁が違って見えるだけで、同じ長さを指しています。
まな板の横幅から10センチほど引いた長さが、扱いやすい刃渡りの上限です。横幅30センチのまな板なら20センチまでなので、18センチのものでも余裕をもって載ります。横幅25センチの小さいまな板だと、上限は15センチほどまで下がります。
賃貸の台所には、幅の狭い流しに合わせた小さいまな板が置かれています。相手の台所を見たことがあるなら、まな板の大きさから決められます。見たことがないなら、17センチ前後にしておくと、載らないということが起きません。
大きいものを切るときに差が出ます。キャベツや白菜、大根のような太いものに、18センチなら刃が一度で届きます。16センチだと何往復かすることになり、切り口も揃いません。
家族の人数が多く、まとめて刻む家なら18センチが向きます。16センチだと、作る量が多い家ほど往復の回数が積み上がります。まな板さえ足りていれば、長いほうが手数は減ります。
一人か二人ぶんを作る家では、大きいものを一度で切る機会がそもそも多くありません。それを一度で切れることより、狭い流しの上で振り回さずに済むことのほうが効きます。刃が短いぶん、扱いも軽くなります。
いちばん選ばれているのは17センチ前後です。長さで決められないときは、ここに寄せておくと、どちらの家でも大きく外れません。
三徳包丁は、刃を左右の両側から削って付けた形です。まっすぐ下ろせばまっすぐ切れるので、どちらの手で持っても同じように使えます。商品名に「両利き」「左利きOK」と書かれているのは、この作りだからです。
牛刀やペティナイフも同じ両刃です。洋包丁と呼ばれる形は、どれも両側から刃を付けてあるので、利き手を気にせずに渡せます。
出刃や刺身包丁のような和包丁は、ほとんどが片刃です。刃が片側からだけ削ってあり、右利き用と左利き用で削る面が逆になります。右利き用を左手で持つと、刃が食材から逃げていくので切れません。
左利きの人へ和包丁を贈るなら、左利き用として作られたものを探すことになります。数が少なく、値段も上がります。三徳を選べば、この心配がそもそも起きません。
相手が左利きかどうかを覚えていないことは珍しくありません。三徳なら利き手を外しても使えるので、聞かずに選べます。刃物のなかでは、渡す相手を選ばない側です。
同じ理由で、家族で使い回す家にも向きます。一本を何人かで使う台所では、誰が持っても同じように切れることが効きます。三徳が家庭の一本目として選ばれ続けているのは、この使い回しのしやすさもあってのことです。
包丁は切れなくなっていくものなので、二本目が入っても余りません。今使っているものが古ければ、新しいほうが主役になります。古いほうは、皮をむくときや、においの付くものを切るときに回されて、両方が残ります。
相手が今どのくらいの長さを使っているか分からないなら、ここでも17センチ前後にしておくと、まな板からはみ出しません。同じ長さのものが二本になっても、切れ味が違うので使い分けられます。
同じものです。一本で肉も魚も野菜も切れることから三徳と呼ばれ、万能包丁、文化包丁という呼び方も残っています。商品名にはこの三つが並べて書かれていることが多く、どれで探しても同じものが出てきます。
牛刀と書かれたものは別で、刃先が細く尖っていて、刃渡りも長くなります。三徳のつもりで牛刀を選ぶと、まな板からはみ出すことがあります。
決めるのは、刃渡りと鋼材です。刃渡りで台所での扱いやすさが変わり、鋼材で切れ味の持ちと値段が変わります。
まとめて刻む家や、家族の多い家には18センチを。キャベツや大根に刃が一度で届きます。一人か二人の家や、まな板の小さい家には16センチを。狭い流しでも振り回さずに使えます。相手の台所が分からないときは、17センチ前後に寄せておくと外れません。
自分で研ぐ相手には、芯にVG-10を置いたダマスカスのものを。硬いので、研ぐ回数がそのぶん減ります。研ぐ習慣のない相手には、無料の研ぎ直しが付いたものを選んでおくと、何年か先まで切れる状態が続きます。
値段を抑えるなら、ステンレス一枚のもので家庭の用は足ります。手首に力の入りにくい相手には、85グラムほどのセラミックのものが軽さで効きます。ただし冷凍したものと骨には当てられません。
すでに切れる一本を持っている相手には、そちらのほうが手が届きます。
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