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紅茶を贈ると、相手は一日の区切りごとに湯を沸かします。朝の一杯、午後の休憩、寝る前の一杯。飾っておくものではなく、その日から減っていくものです。同じものが家にあっても行き場に困りませんし、切らしたころに届けば、そのまま次の一箱になります。
選ぶときにまず決まるのは、袋のまま湯に入れるティーバッグにするか、茶葉を量って淹れるリーフにするかです。相手の台所にポットや茶こしがあるかどうかで、ここが分かれます。
その次に決まるのが産地と香りです。紅茶の名前には、産地を指すものと、香りを付けた種類を指すものが混ざっています。商品名が並んだところを見ても、名前の意味が二通りあるということです。
商品名に並ぶOP・BOP・CTCは、等級と呼ばれます。ただしこれは、茶葉の形と大きさ、それに作り方を表す記号であって、上下の順位ではありません。
OPはオレンジ・ペコーの略で、葉の長さが1センチ前後ある細長い大きな茶葉を指します。BOPはそれを機械で砕いた2ミリから3ミリの茶葉。CTCは、つぶして、引き裂いて、丸めて粒にする作り方の頭文字で、短い時間で色と味が出るように考えられた製法です。
昔は大きい葉ほど質がよかったので、いちばん大きいOPが等級の呼び名の起点になりました。今は大きさと品質が別で、細かくても上等な茶葉があります。CTCを格下だと思って避けると、濃く出したい相手に合うものを外します。ついでに言うと、オレンジ・ペコーの「オレンジ」は柑橘と関係がありません。
産地の名前は、そのまま味の見当になります。
アッサムは力強く、少しの茶葉でも渋みが強く出ます。そのまま飲むと重いので、ミルクを入れる前提の茶葉です。ダージリンは果物を思わせる華やかな香りとコクがあり、「紅茶のシャンパン」と呼ばれます。こちらは何も入れずに飲むほうが香りが立ちます。
ウバはきりっとした渋みと、メントールに似た清涼感のある香りが特徴で、ミルクとも合います。ニルギリはすっきりと澄んだ味で、冷やしても濁りにくい。キームンは渋みが少なく、コクと甘みがあり、バラや蘭にたとえられる香りが立ちます。この二つは、そのまま飲んで味が分かる側です。
セイロンは特定の産地ではなく、スリランカで採れた紅茶をまとめた呼び名です。ミルクを入れる前提の茶葉と、そのまま飲む前提の茶葉があるので、相手の飲み方が分かっていれば、産地の名前だけで半分絞れます。
アールグレイという茶葉は存在しません。ベルガモットという柑橘の香りを付けた紅茶を、まとめてそう呼びます。ベルガモットはレモンとオレンジを合わせたような香りで、どの産地の茶葉に付けてもアールグレイと呼ばれます。
茶葉に香りを付けることを着香といいます。香料で付けたものと、実際の果物や花びらを混ぜ込んだものがあり、はちみつや果物の名前が付いたものも同じ仲間です。
ダージリンとアールグレイが同じところに並んでいても、前者は産地、後者は香りの話です。両方が付いた「ダージリンのアールグレイ」もあり得ます。産地の名前と香りの名前を分けて見ておくと、商品名の長い並びから欲しいものを取り出せます。
ノンカフェインは、もともとカフェインを含まない飲みものを指す言葉です。麦茶やルイボスがこれに当たります。カフェインレス、あるいはデカフェは、含んでいたものから取り除いたもので、わずかに残っていることがあります。
紅茶の葉はもともとカフェインを含んでいるので、紅茶から作るなら取り除く工程が入ります。商品名に「ノンカフェイン」とあるときは、中身が紅茶なのか、それとも茶の葉を使わないハーブなのかを見分けるところからです。同じ言葉でも、指しているものが違います。
取り除いてあれば、夜に飲んでも寝つきに障りにくくなります。寝る前の一杯を習慣にしている相手なら、デカフェという表示があるかどうかで渡せるものが変わります。
デカフェの目安として、カフェインの含有量が0.1パーセントを下回るもの、という言い方がされます。ただしこれは法で決まった線ではありません。日本には、カフェインが少ないことを示す言葉に定めがなく、同じ「カフェインレス」でも商品によって残っている量が違います。
確かめられるのは、商品ページに書かれた除去率や含有量です。九割以上を取り除いたといった書き方をしているものもあれば、何も書いていないものもあります。妊娠している相手、授乳中の相手に渡すなら、ここまで見ておくと後から心配せずに済みます。
「やさしい」「ゆったり」といった売り文句は、カフェインの量とは無関係です。数字が書いてあるかどうかを、そのまま選ぶ材料にできます。
紅茶と同じところに並んでいるハーブティーは、茶の木の葉ではなく、花や果実や根を乾かしたものです。カモミール、ルイボス、ハイビスカス。茶葉を使っていないので、初めからカフェインが入っていません。
カフェインを避けたいだけなら、こちらへ移るという手も出てきます。ただし味は紅茶とは別物です。渋みもコクも違うので、紅茶が好きな相手にハーブティーを渡しても、代わりにはなりません。
紅茶とハーブを混ぜた詰め合わせも並びます。紅茶の袋とカモミールの袋が一つの箱に入っている形で、昼は紅茶、夜はカモミール、という分け方ができます。相手が両方飲む人なら、この組み合わせが一日ぶんを覆います。
同じ紅茶でも、何に入っているかで日持ちが変わります。缶に入ったリーフや、アルミの袋に入ったティーバッグは、封を切らなければ3年ほど置けます。紙の箱や紙の包装のものは2年ほど。光と空気をどれだけ通すかが、そのまま差に出ます。
開けたあとは短くなります。目安はひと月から、長くて季節ひとつぶん。湿気を吸い、空気に触れて、香りから先に落ちていきます。紅茶が弱いのは、湿気と酸素と光の三つです。
そこから量が決まります。ふだん紅茶を飲まない相手に大きい箱が届くと、開けた日から時間に追われます。一種類だけの大箱より、少しずつ入った詰め合わせのほうが、飲みきれずに残る心配がありません。逆に毎日飲む相手なら、同じものがまとまって入ったほうが切らさずに済みます。
ティーバッグを一袋ずつ包んであるものは、開けた袋だけが空気に触れます。残りは包まれたままなので、最後の一袋まで最初と同じ状態で残ります。
種類の多い詰め合わせほど、この形が効いてきます。何種類も入った箱を裸のまま置くと、香りが混ざります。個包装なら、はちみつの香りと柑橘の香りが隣り合っていても移りません。
職場で配る、来客に出す、家族が別々の時間に飲む。そういう使われ方をする相手には、個包装のほうが行き渡ります。一袋ずつ持ち出せるので、鞄に入れて職場に置いておくこともできます。
リーフの茶葉には、ポットと茶こしが要ります。持っていない相手のところへ届くと、道具をそろえるところから始まります。ティーバッグなら、カップと湯だけで足ります。
相手の台所に何があるか分からないなら、ここは迷わずティーバッグです。逆に、ポットを持っていて茶葉が開くのを見ながら淹れる相手なら、リーフのほうが渡しがいがあります。道具を持っているかどうかが、そのまま分かれ目です。
水出し用と書かれたティーバッグもあります。湯を沸かさず、冷水に入れて冷蔵庫で待つ形です。夏に渡すなら、火を使わずに済むぶん、暑い台所に立たせずに飲んでもらえます。
外れにくい形ではあります。産地の違うもの、香りを付けたもの、カフェインを取り除いたものが並んでいれば、そのうちどれかは相手の口に合います。当たりを一つ引いてもらえれば、次から本人が同じものを買えます。
そのかわり、当たらなかったぶんは残ります。種類を増やすほど一種類あたりの袋数は減るので、気に入ったものを続けて飲むには足りません。好みを探ってもらう箱であって、飲みたいものを飲んでもらう箱ではない、という割り切りが要ります。
相手がいつも同じ紅茶を飲んでいると分かっているなら、セットにする理由はありません。その一種類がまとまって入ったものを渡したほうが、最後の一袋まで飲まれます。
淹れる道具を持っている相手か、ミルクを入れる相手か、カフェインを控えている相手か。そこに、包装と量の話が乗ってきます。
等級のOP・BOP・CTCが表しているのは、茶葉の形と大きさと作り方です。上下の順位ではないので、CTCを格下と見なくてかまいません。短い時間で色と味が出る作り方なので、濃く出したい相手に向きます。産地の名前は味の見当になり、アッサムは渋みが強くてミルクを入れる前提、ダージリンやキームンは何も入れずに香りを取る側です。
アールグレイのほうは産地ではなく、ベルガモットで香りを付けた紅茶を指します。産地の名前と香りの名前を分けて見ると、並んだ商品名が読めるようになります。
デカフェとノンカフェインも、指しているものが違います。紅茶から作るなら取り除く工程が入るので、残っている量が書かれているかどうかまで見ることになります。
包装で日持ちが変わり、開けたあとはひと月から季節ひとつぶんです。個包装なら最後の一袋まで香りが残るので、種類の多い詰め合わせほどこの形が効きます。
ミルクティーを毎朝飲む相手には、アッサムかCTCの大きめの箱を。香りを楽しむ相手には、ダージリンやアールグレイの個包装を。夜に一杯飲む習慣のある相手には、除去率の書かれたデカフェを。ポットを持っていない相手になら、火を使わずに済む水出しのティーバッグが、いちばん早く一杯目にたどり着きます。
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