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# 数の子
正月の食卓に並ぶものなので、渡す時期がはっきりしています。年の暮れに届けば、そのまま重箱に入ります。卵の数が多いことから子宝や子孫繁栄を願う品とされ、祝い肴の一つに数えられてきました。
分かれ目は、届いてすぐ食べられるかどうかです。数の子は塩に漬けて売られるものが大半で、そのままでは塩が強くて口に入りません。受け取った人が塩を抜き、味を付ける。そこまでやって初めて食卓に出ます。
一方で、味を付けた状態で届くものもあります。開けて器に移すだけで済むので、台所に立つ時間の取れない相手にはこちらが向きます。同じ数の子でも、渡したあとに相手がやることがまるで違います。
数の子は、どう加工してあるかと、どんな形で残っているかで値段も手間も変わります。商品名にはその両方が書かれるので、そこが読めると選ぶ範囲が絞れます。
出回っている数の子の九割以上は、塩に漬けたものです。長く置ける形ですが、そのままでは塩が強すぎて食べられません。塩を抜く工程を挟み、そのあと出汁や醤油で味を付けることになります。
手間はかかりますが、歯ごたえがいちばんよく残るのがこの形です。塩を抜くのも味を付けるのも時間を置く作業なので、年末の何日かを見込んでおくことになります。
すでに味が入った状態で届くものです。器に移すだけなので、支度に時間をかけられない相手に向きます。
そのかわり、塩数の子とくらべると歯ごたえが物足りないと感じる人もいます。味の濃さを自分で加減することもできません。塩数の子を仕込むのが正月の習慣という家に渡すと、その手順ごと取り上げる形になります。
薄塩と書かれたものもあります。食べられるぎりぎりまで塩を抜いた状態で届くので、抜く工程が要りません。味は付いていないことが多いので、出汁に漬けるところからになります。歯ごたえは塩数の子に近く、二つのあいだの形です。
天日で干した数の子もあります。米のとぎ汁に浸して戻すと、三倍から四倍にふくらむという作り方です。
ただし今はほとんど作られておらず、値段も別格に高くなっています。昔ながらの数の子を探しているつもりでこれを当てにすると、探すだけで年を越します。並んでいるのは塩に漬けたものだと思って進めるほうが早く済みます。
形がそろって一本まるごと残っているものを一本物と呼びます。加工の途中で割れたものが折れ子です。
折れ子は形も大きさもばらばらなので値段が下がります。ただしもとは同じ数の子なので、味や質そのものは大きく変わりません。松前漬けのように刻んで使うなら、折れ子で十分足ります。
重箱に並べる、来客に出す。そういう使い方なら一本物です。見た目がそのまま器の中身になるので、改まった相手へ贈るなら形のそろったほうが収まります。
カナダの太平洋側で獲れたものは質が高く、歯ごたえのよさで知られています。アラスカのものは硬めでこりこりしており、松前漬けのように混ぜて使う料理と相性がよくなります。
北海道で獲れたものは数が少なく、そのぶん値が張ります。国産という一点が伝わるので、産地を気にする相手や、改まった席に出す家では選ぶ理由になります。ただし食感は卵の育ち方や塩の当て方でも動くので、産地だけで決まるわけではありません。
カナダやアラスカで漁獲そのものが減っています。採算が合わずに加工をやめた業者もあり、そのぶん値が上がりました。
正月の贈り物として並ぶものの中でも、数の子は高い側に入ります。量で選ぶより、一本物か折れ子か、産地はどこかで見ていくほうが納得のいく買い方になります。
数の子は、届いてからやることが商品によって違います。相手がどれだけ台所に立てるかで、渡すものが変わります。
毎年おせちを仕込む家なら、塩数の子が生きます。塩を抜いて、その家の味に仕上げる。そこまで含めて正月の支度になっているからです。
一本物なら、重箱に並べたときの見栄えもそのまま整います。味の付いたものは、その家の味と合わないことがあります。
共働きの家、小さい子のいる家、仕事納めが遅い相手。年末に何時間も台所へ立てるとは限りません。
そういう相手には、味の付いたものへ。届いた日に器へ移すだけで、正月の一品が一つ増えます。薄塩のものは抜く工程は要りませんが、味を付ける時間は残ります。まったく台所に立てない相手なら、味の付いたほうです。
燻製にした数の子があります。乾き物として作られていて、正月とは関係なく開けられます。
おせちの一品ではなく、酒に合わせるつまみとして渡す形です。正月に食べきる必要がないので、年末年始に贈り物が重なりやすい相手にも使えます。
重箱に入れてもらうつもりなら、年内に着かなければ意味がありません。年の暮れは配送が混み合うので、日にちを指定できるかどうかが分かれ目になります。
冷蔵で届くものは、相手が受け取れる日かどうかも効いてきます。帰省で家を空ける相手に着日を合わせないと、生ものが玄関先で待つことになります。
重箱に並べるなら一本物です。形がそのまま器の中身になるので、改まった相手や来客のある家には、形のそろったほうが向きます。
折れ子が向くのは、刻んで使うと分かっている相手です。松前漬けにする家、細かくして和え物にする家なら、形の違いは口に入れる前に消えます。安いから失礼、ということではなく、使い道で分かれます。
数の子は一人が一度に食べる量が少なく、重箱の中でも一区画に収まります。四人ほどの家で正月の三日ぶんなら、250グラムあたりから足ります。
年始に人が集まる家、松前漬けを作って配る家なら、キロ単位のものも選べます。何人で囲むかより、何日ぶん食べるか、配るかどうかで量が決まります。
おせちの祝い肴という顔が強いので、時期を外すと唐突に見えることがあります。
酒の肴として渡すなら別です。燻製にしたものは乾き物として作られていて、正月に食べきる必要がありません。年末年始に贈り物が集中する相手には、この形で時期をずらすという手もあります。
先に決まるのは、相手が台所で手をかけられるかどうかです。塩に漬けたものは水に浸して塩を抜き、そこから味を付ける手間が要ります。味の付いたものなら器へ移すだけ。薄い塩に留めたものは、そのまま出せて食感も残ります。
形は一本物と折れ子に分かれます。折れ子は加工の途中で割れたもので、値段が下がるだけで味は大きく変わりません。刻んで使う家なら折れ子で足り、重箱に並べる家なら一本物です。
歯ごたえは産地で変わります。カナダの太平洋側のものは質が高く、アラスカのものは硬めでこりこりしている。国内で獲れたものは出回る数そのものが少なくなりました。
最後に届く日です。重箱に入れてもらうなら年内に着かなければ間に合いません。年末は配送が混むので、日にちを指定できるかどうか。帰省で家を空ける相手なら、受け取れる日かどうか。この二つが関門になります。
毎年おせちを仕込む家へなら、塩数の子の一本物を年内に届くように。年末に台所へ立つ時間が取れない相手には、味の付いたものか薄い塩のものを。正月の贈り物が重なる相手には、燻製を酒の肴として時期をずらして。相手の年の暮れを思い浮かべてから、見くらべてみてください。
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