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先に決まるのは、切り方です。同じ黒毛和牛でも、鍋に入れる薄いスライス、焼肉で網に載せる一口大、ステーキで焼く厚い一枚では、まったく別の商品になります。切ってしまえば後から変えられないので、相手の食卓で何をするかを先に決めることになります。
もう一つ、このジャンルは牛タンの数が多い。和牛のスライスや焼肉と並んで、仙台の名前が付いたものが厚切りで売られています。選び方の物差しが別なので、そこは分けて見ます。
そして「A5」という表記。商品名によく出てきますが、この記号に味の評価は入っていません。中身を知ってから読むと、見え方が変わります。
牛肉はどう切ってあるかで、使える料理が決まります。贈答の詰め合わせも、そこできれいに分かれます。すき焼きやしゃぶしゃぶ用の薄いスライス、焼肉用の一口大、ステーキ用の厚い一枚、そして牛タン。
商品名に「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」「スライス」と書かれたものです。クラシタロース(肩ロース)やリブロースを薄く引いたものが、この形の中心になります。
火の通りが早いので、鍋に入れてすぐ食べられます。噛む力の落ちた相手にも食べやすい。焼肉の網に載せると、隙間から落ちます。焼いて食べられないわけではありませんが、鍋で食べるつもりで切ってあるものだと思っておくほうが確かです。
一口大に切ってあるものです。何種類かの部位を組んだセットで売られることが多く、サーロイン、リブロース、肩ロース、カルビといった名前が商品名に入ります。
食べ比べができるのがこの形の持ち味です。ただしホットプレートか網が要ります。持っていない家に1キロを贈ると、フライパンで少しずつ焼くことになる。集合住宅では煙も問題になります。
厚く切った一枚です。サーロインを使ったものが、この形の代表になります。フライパン一つで焼けるので、道具の心配は要りません。
そのかわり、焼き加減が相手の腕にかかります。厚いぶん失敗もしやすい。火加減に自信のない相手なら、スライスか焼肉のほうが確実に食卓へ出ます。
ローストビーフがこれにあたります。すでに火が入っているので、切って皿に並べるだけ。
台所に立つ時間が読めない相手、料理をしない相手。この形なら、渡した日のうちに食べてもらえます。赤身を使うので、脂の重いものが苦手な相手にも向きます。
商品名にA5、A4という表記が並びます。「最高ランク」と添えられることも多い。ただしこの記号は、味の順位ではありません。中身を知っておくと、読み方が変わります。
A・B・Cのアルファベットは歩留等級といって、その牛から商品になる肉がどれだけ取れるかを表します。Aがいちばん多く取れる。売る側の都合の物差しで、食べる人が感じる味とは別です。
1から5の数字が肉質等級で、肉の色つや、締まりときめ、脂肪の色つやと質、そして脂肪の入り具合(霜降り)の四つを見て決まります。5がいちばん上。
この四つのどこにも、味そのものは入っていません。等級が低くてもおいしい牛肉はいくらでもあります。A5と書かれていたら、数字の5のほうを見る。そこが「霜降りが多く、きめが細かいほう」を指しています。Aは取れる量の話なので、選ぶときには使えません。
A5の霜降りは、脂の甘みと溶け方が持ち味です。そのかわり脂は重さでもあります。サーロインのステーキなら一人150グラムで十分に満腹になりますし、すき焼きのスライスも、霜降りが強いほど一人前は少なく見ておくほうが食卓で余りません。
量の多いものはA4、少ないものはA5という組み方をよく見かけます。同じ予算で組むなら、量を取れば等級は一つ下がるという関係になります。
年配の相手に霜降りを多く渡すと、おいしいと言いながら半分で止まることがあります。そこで等級を下げても、脂の多い部位なら結果は変わりません。動かすなら部位のほうです。
首に近いほうから、肩ロース、リブロース、サーロインと並びます。商品名に出てくるのはこの三つが中心で、肩ロースは「クラシタロース」という名前で書かれることがあります。
サーロインは霜降りが細かく、脂が甘い。ステーキで焼くのがいちばん持ち味が出ます。リブロースは霜降りが目立ち、すき焼きに向くとされますが、焼肉にもスライスにも回せる幅があります。肩ロースはきめが細かく、程よい食感で味が濃い。
赤身のほうが食べ疲れません。ローストビーフに赤身が使われるのも、量を最後まで食べてもらうための形です。
このジャンルでいちばん品数が多いのが牛タンです。仙台の名前が付いたものが並びます。和牛のスライスや焼肉とは、選ぶときに見る場所が違います。
牛タンは根元からタン元、タン中、タン先と分かれます。根元のタン元は柔らかく、厚切りで食べられるのはこのあたり。先のほうは筋が多くて硬いので、薄く切るか煮込みに回ります。
牛タンは一頭から1キロから1.5キロほどしか取れません。その中の根元だけとなると、さらに限られます。「芯たん」「タン元」「厚切り」と書かれるのは、そこを使っているという意味です。
「塩仕込み」「塩味」のものと、「味噌仕込み」のものがあります。両方を詰め合わせた形もあります。
どちらも味が付いた状態で届くので、焼くだけで一品になります。牛タンには、A5やA4といった等級の表記が付きません。霜降りの入り方で値が決まる肉ではないので、和牛と同じ物差しが当てられないからです。
タン元にも脂はのっています。ただし、和牛の霜降りのように肉の中へ細かく入り込むのとは別で、噛んだあとに残る重さが違います。
霜降りのすき焼きだと半分で箸が止まる相手でも、厚切りの牛タンなら食べきるということが起こります。年配のご家族、脂を控えている相手。ここが、和牛のスライスや焼肉と分かれるところです。
牛タンには「240グラム 約2人前」「360グラム 約3人前」と、人数の書かれたものがあります。どちらも一人120グラムの計算で、焼く肉の一人前の目安ともそろいます。
100グラムずつの袋に分けたものもあります。3袋で300グラムというように、一度に開ける量を相手が決められる形です。一人暮らしの相手なら、この分け方があるものを選んでおきます。
贈答用の牛肉は、200グラム台の一人ぶんから、1キロを超えるものまで幅があります。人数の書かれたものと、重さだけのものが混ざるので、重さだけのものは自分で割り算します。
すき焼きは一人120グラムから200グラム、焼肉は100グラムから150グラム、ステーキは150グラムほどが目安とされます。成人男性なら200グラム、女性なら150グラム、子どもなら100グラムという数え方もあります。
この二つは合わせて使います。料理で幅を出し、食べる顔ぶれで幅の中のどこを取るかを決める。男の人ばかりの席なら上のほう、子どもが混じるなら下のほうです。
スライスは500グラムを起点に重さを選べる売り方が多くなります。すき焼きの目安で割ると、多めに食べる二人半から、控えめの四人まで。幅が出るので、相手の家の顔ぶれで詰めます。
「500グラム 3〜4人分」と書かれていれば、割ると一人125グラムから167グラム。焼く肉の目安とほぼ重なります。一方で1キロを「5人〜6人」とするものは、割ると一人167グラムから200グラム。目安の上限より多めなので、そこは店の見立てが大きいほうだと思って読みます。
一度では食べきれません。冷凍で届くものなら分けて解凍できますが、開けた分は使い切ることになります。
相手の家が何人かを先に確かめるほうが、等級を上げるより効きます。二人暮らしなら300グラムから500グラム、四人家族なら600グラムから1キロ。このあたりを起点にすると、余らせずに済みます。
1キロの焼肉セットや2段重の箱は、冷凍庫でそれなりの体積になります。入れる場所がなければ、相手はその日に食べるしかありません。
相手の家に空きがあるかまでは読めません。大きいほうへ寄せたくなりますが、食べる人数から決めたほうが、結果として全部食べてもらえます。
避けるのが無難です。肉と魚は「四つ足生臭もの」と呼ばれ、弔事の贈り物では昔から外されてきました。仏教では故人が亡くなってから四十九日まで、肉や魚を使わない食事にする習わしがあったためです。
弔明けまで四つ足を控える家もあります。相手の家の考え方までは読めないので、この場面ではジャンルごと外すほうが後を引きません。
部位を4点から6点ほど組んだものです。商品名にはサーロイン、リブロース、肩ロース、カルビといった名前が並びます。同じ牛の違うところを、一度の食卓で並べられるのがこの形です。
一つの部位に絞ったものより、食卓の話が弾みます。そのかわり焼く道具が要るので、相手の家に網かホットプレートがあると分かっているときの形です。
その肉が名乗っている銘柄や等級を裏づける紙です。商品名に「証明書付」と書き添えられることがあります。
受け取った側が、箱の中身を自分で確かめられるのが利点です。改まった相手へ渡す場面では、この一枚が効きます。紙が付くかどうかで、肉そのものが変わるわけではありません。
相手が受け取れる日です。冷凍便は不在なら持ち帰られますが、そのぶん相手の手間になります。先に一言入れておくほうが親切です。
日付を指定できる店なら、相手の休みに合わせます。集まりの席で出してもらうなら、当日ではなく前の日までに着くようにしておくと、相手が段取りを組めます。
このジャンルを選びません。体質や信仰で牛肉を食べない人もいます。「高いものだから喜ばれるはず」で押し切ると、行き場のない箱になります。
噛む力が落ちてきただけなら、話は別です。厚い一枚を避けて、薄く引いたものか、火の入った赤身へ動かせば食べてもらえます。
最初に決まるのは切り方です。薄いスライスは鍋に、一口大は網に、厚い一枚はフライパンに。切ってしまえば後から変えられないので、相手の食卓で何をするかが、そのまま見る商品を分けます。焼く道具が読めないなら、鍋に入るスライスか、切るだけのローストビーフに寄せておくと無理をさせません。
牛タンは別の物差しです。「芯たん」「タン元」と書かれたものは厚切りにできる根元だけを使ったもので、等級の表記は付きません。脂が重くないので、霜降りを持て余す相手にも渡せます。人数の表記があるぶん、数えるのも楽です。
「A5」に味の評価は入っていません。アルファベットは取れる量、数字は色つやや霜降りの入り方。霜降りが多いほど、一人が食べられる量は減ります。脂を控えている相手には、等級をいじるより赤身へ動かすほうが効きます。弔事の場面では、このジャンルごと外します。
量は人数から割り出します。すき焼きなら一人120グラムから200グラム、焼肉なら100グラムから150グラム。二人暮らしに1キロを渡しても、一度では食べきれません。
四人家族が鍋を囲む席なら、A5にこだわらず600グラムのスライス。酒を飲む相手と連れ合いの二人なら、厚切りの牛タンを240グラム。相手の食卓を思い浮かべてから、見くらべてみてください。
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