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ココナッツオイルは、台所に立つ相手なら一日のうちに何度も出番が来る油です。朝のトーストに塗り、昼の炒め物に使い、夜はコーヒーに落とす。特別な日の一品ではなく、毎日の料理に混ざっていく形で減っていきます。
選ぶときに最初に分かれるのは、ココナッツの匂いがするかしないかです。同じ名前で並んでいても、南国の菓子のような香りが立つものと、匂いがまったくしないものがあります。ここを取り違えると、相手の作る料理ぜんぶに、望んでいない香りが乗ります。
バージンココナッツオイルは、加熱も薬品も使わずに搾って、こしただけのものです。ココナッツの実の香りがそのまま残ります。トーストやお菓子に使うと、南国の甘い匂いが立ちます。
精製したものは、そのあとに脱色と脱臭の工程を通ります。匂いも風味もほとんど残りません。商品名では「無香」「無臭」「香りのない」と書かれています。普通のサラダ油と同じ感覚で使えるのはこちらです。
値段にも差が出ます。香りと風味を抜いてしまうので、実の状態が味に出ません。そのぶん原料を選ばずに作れて、精製したもののほうが安く仕上がります。バージンが高いのは、実の質と手間がそのまま値段に乗るからです。
どちらが上という関係ではありません。香りを楽しんでほしいならバージン、いつもの油の置き換えとして使ってほしいなら精製したもの。相手の台所でどう使われるかで決まります。
商品名によく出てくるエキストラバージンですが、この言葉には国際的な取り決めも、法律の定義もありません。オリーブオイルで見慣れた語感のまま読むと外します。
そう書いてあるからといって、ほかのバージンより上等だとは限りません。名乗るのは自由な言葉なので、そこだけを目印にすると選び分けになりません。
代わりに目印になるのが、有機JASやオーガニックの認証です。こちらは審査を通ったものだけが表示できます。「コールドプレス」「低温圧搾」は、審査の印ではなく搾り方を指す言葉ですが、熱をかけずに搾ったことは分かるので、香りが残っている側だという手がかりになります。
このジャンルでいちばん驚かれるのが、気温で状態が変わるところです。20度より下では白い固形、20度から25度では半分溶けた状態、25度を超えると透明な液体になります。
冬に届いた瓶を開けると、真っ白な塊が詰まっています。傷んだわけではありません。ココナッツオイルに多いラウリン酸という脂肪酸が、その温度で固まるだけです。白い塊ができるのは、ココナッツオイルそのものである印になります。
溶けたり固まったりを繰り返しても、品質は変わりません。手でこすれば体温で溶けますし、湯煎でも戻ります。
ここから、容器の形が効いてきます。固まったものをスプーンで削り取るので、口が広いほうが扱いやすくなります。湯煎に掛けられる作りかどうかも、冬に渡すなら見ておきたいところです。
ココナッツオイルは、500ミリリットルや900グラム級の大きなものが並びます。数本まとめた組も多く、小さく試せる形が少ないジャンルです。1リットルで1,700円台、400グラム前後で1,100円台と、油としては高くありません。
そのぶん、使わない人に渡すと丸ごと残ります。普段から自分で料理をする相手か、パンやお菓子を焼く相手か。渡す前に、その台所で油が減っていく速さを思い浮かべておくと、量を外しません。
料理をあまりしない相手に渡すなら、並んでいる中でいちばん量の少ないものを探すことになります。それでも400グラム前後は入っているので、使い切れるかどうかは最初に確かめておきたいところです。
バージンのほうは、南国の香りが合う料理でこそ生きます。パンケーキ、焼き菓子、カレー、エスニックの炒め物。ココナッツの匂いが加わることで、味が一段変わります。
合わないのは、和食と中華です。煮物に使えば出汁と喧嘩しますし、餃子を焼けば妙な甘さが残ります。毎日の台所が和食に寄っている相手にバージンを渡すと、使う場面が見つかりません。
匂いのしない精製したものなら、この心配がありません。普段の油の代わりに置けるので、何を作る人でも通ります。相手の料理が読めないときは、こちらのほうが確かです。
ココナッツオイルを使ったことがない相手には、精製した無香のものが向きます。ココナッツオイルを扱う専門の店でも、まず香りの無いほうを試して、慣れてから香りのあるほうへ進む順番が案内されています。
理由は瓶の大きさにあります。香りが苦手だと分かった時点で、500ミリリットルが丸ごと残ります。匂いの合わない油は、その日から一度も使われません。
相手がすでにココナッツの香りを好きだと分かっているなら、話は逆になります。エスニック料理を作る人、ココナッツミルクを常備している人なら、バージンの香りがそのまま喜ばれます。
渡す時期でも印象が変わります。寒い時期に届いた瓶は、中身が白く固まっています。知らない相手が開けると、傷んだのかと思って手が止まります。
ここは渡すときの一言で片が付きます。「冬は白く固まるけど、そのままで大丈夫だから」。それだけで、相手が調べたり問い合わせたりする手間が消えます。
逆に、暖かい時期なら透明な液体のまま届きます。中身が同じでも、届いた季節で見た目が変わるジャンルなので、渡す時期を選べるなら夏場のほうが説明が要りません。
ココナッツオイルの商品名には、肌、髪、ボディ、うがいといった言葉が並ぶことがあります。食べる油として売られているものに、こうした使い道が併記されています。
ところが、美容の側から見ると話が変わります。食用のものを肌に使うのは勧められていません。食べるぶんには問題のない添加物が入っていることがあり、肌の弱い人が使うと荒れることがあるからです。何も足していないものもありますが、瓶を見ただけでは分かりません。
売り手が商品名に書いていることと、肌の側の案内が食い違っているところ。ここがこのジャンルの分かりにくさです。肌や髪に使ってもらうつもりなら、行き先はスキンケア用・ヘアケア用として売られているものになります。同じココナッツから作られていても、通る審査も詰め方も別です。
贈るときに困るのが、この二つが混ざっていることです。「料理にも美容にも使えます」と言って渡すと、相手はどちらから始めるか決められません。
台所に置くのか、洗面所に置くのか。置き場所が決まらない物は、そのまま箱に入ったままになります。
はっきりさせる方法は一つ。渡すときに、どちらの用途で選んだかを言うことです。「料理に使う油として選んだ」と言えば台所に行きますし、「髪の毛先に使うといいらしい」と言えば洗面所に行きます。物は同じでも、行き先が決まると使われ始めます。
食用として渡すと決めたなら、選ぶ手がかりは認証の印です。有機JASやオーガニックの表示は、審査を通ったものだけが付けられます。
香りの有無は、商品名の言葉で確かめられます。「無精製」と書いてあればバージン、「無香」「無臭」と書いてあれば精製したものです。どちらも書かれていないときは、「コールドプレス」「低温圧搾」があれば熱をかけずに搾った側なので、香りの残っているほうだと読めます。
産地はフィリピンやスリランカのものが出回っていますが、先に見るのは香りの有無と認証の印です。この二つが決まっていれば、産地まで踏み込まなくても外れません。
冬でも液体でいてほしいならMCTオイル、加熱する料理に使ってほしいならココナッツオイルという分け方になります。
MCTオイルは、ココナッツオイルから固まる元になる脂肪酸を取り除いたものです。低い温度でも固まらないので、冷たい飲み物やヨーグルトに混ぜても白い粒が浮きません。ココナッツオイルが20度で白くなるのに対し、こちらは通年そのままです。
そのかわり、MCTオイルは140度から150度で煙が出ます。普通の調理油が200度前後まで耐えるのに比べると低く、炒め物や揚げ物には使えません。加熱しない料理にかけるか、できあがったスープに混ぜる使い方になります。
飲み物やサラダに足す人ならMCT、フライパンを使う人ならココナッツオイル。どちらとも言えないなら、火にかけても使えるココナッツオイルのほうが、行き先が多く残ります。
匂いがするかしないか。食べる用か、肌や髪に使う用か。ココナッツオイルは、まずこの二つで行き先が決まります。
香りが残っているのがバージン、脱色と脱臭を通して匂いを消したのが精製したもの。南国の香りが合う料理を作る相手ならバージン、いつもの油の代わりに使ってほしいなら精製したものです。初めて使う相手には、匂いのないほうから。
「エキストラバージン」は決まった基準のない言葉なので、そこだけを目印にすると選び分けになりません。有機JASやオーガニックの印のほうが、審査を通った証しとして確かです。
20度を切ると白く固まり、25度を超えると透明に戻ります。冬に渡すなら一言添えると、相手が驚かずに済みます。固まったぶんを削り取るので、口の広い容器のほうが冬は扱いやすくなります。
瓶が大きいのもこのジャンルの特徴です。使う人かどうかを先に見ておかないと、丸ごと残ります。
**肌や髪に使ってもらうつもりなら、食べる油からは離れます。
パンやお菓子を焼く相手には、香りの立つバージンを。毎日料理をする相手には、匂いのない精製したものを大きめの瓶で。ココナッツオイルを使ったことがない相手なら、匂いのないほうから。台所にあまり立たない相手だと、いちばん小さいものでも400グラム前後は入っているので、そこだけは渡す前に考えておきたいところです。
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