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馬肉は、食べたことがあっても自分の家のために注文する人は少ない肉です。店で小皿に出てくるものを思い浮かべる人が多く、冷凍庫に常備しておく品ではありません。自分では買わない人ほど、贈り物で初めて家の食卓に出すことになります。
冷凍で届くので、冷凍庫に空きがあれば、そのまま置いておけます。小分けの袋に分けて凍らせたものなら、届いた日に全部を食べ切る必要もありません。同じ時期に別の食べ物が届いていても、順番を待たせられます。
そして、この分野は名前の数がとにかく多い。赤身、上赤身、中トロ、大トロ、たてがみ、ふたえご、ロース、ユッケと並び、そのどれを何グラム入れるかで一つひとつの商品が違っています。相手が馬肉を食べ慣れているかどうかで部位が決まり、酒のお供にするか食事に出すかで重さが決まります。他の肉より細かく相手に合わせられるところです。
商品名に並ぶ部位の名前は、ばらばらに存在しているわけではありません。赤身をいちばん端に置いて、そこから脂がどれだけ入っているかで順に名前が変わります。この並びが分かると、はじめて見る商品名でも見当が付きます。
赤身は脂の少ないところで、馬肉の中心にあるものです。そこに脂が細かく入ってくると上赤身になり、さらに増えると中トロ、大トロと名前が変わります。魚の名前を借りていますが、指しているのはどれも同じ赤身で、脂の量だけが違います。
はじめて食べる相手には赤身の側から選ぶと外れにくくなります。脂の多いところは口に残るので、好みが分かれます。逆に、馬肉を食べ慣れている相手なら、脂の側にこそ楽しみがあります。
たてがみは首の上に乗っている白い脂身です。赤身とは色も食感もまったく別で、コリコリした噛みごたえがあります。赤身と一緒に口に入れる食べ方をする人が多く、単独で大量に食べるものではありません。
ふたえごは、あばらの周りの赤身と脂が層になったところです。噛むと弾力があり、赤身とも脂ともつかない独特の歯ごたえになります。この二つは、赤身から中トロへの並びのどこにも入りません。食べ慣れた相手なら、詰め合わせにこの名前が入っているぶんだけ味の種類が増えます。食べ慣れていない相手には、赤身の割合が多いほうが手を付けやすくなります。
馬肉の一覧には、レバーを生で食べる品が入っています。生で食べるレバーが売られているのは、馬のほかにほとんどありません。商品名に「希少部位」と添えられているものは、たいていこのレバーです。
ただし、これは受け取る側の好みがはっきり分かれます。相手が生のレバーを食べる人だと分かっている場合以外は、赤身の入ったものを選んだほうが確実です。
熊本は馬肉の産地として知られていますが、熊本で生まれて熊本まで育った馬の数は、想像よりずっと少なくなっています。年間で200頭に届きません。熊本の名前が付いた馬肉のほとんどは、別の場所で生まれた馬です。
カナダや北海道で生まれた馬を熊本まで運び、そこで一定期間育てる形が一般的になっています。熊本で育てる期間は1年半を超えることもあり、そのあいだに脂が入ります。
産地の表示は、その動物をいちばん長く飼っていた場所を書く決まりになっています。カナダで生まれてすぐ日本へ来た馬なら、熊本で育てた期間のほうが長くなり、表示は熊本になります。逆に、カナダで長く育ててから来た馬は、カナダが産地になります。
そこで、生まれた場所と育てた場所の両方を書いた「カナダ産熊本肥育」のような表記が使われます。表示の決まりに従いながら、育てた場所も伝えるための書き方です。「純国産」と書かれているものは、生まれたところから日本の馬だという意味になります。産地が贈り物の理由に関わるなら、「純国産」と「カナダ産熊本肥育」を見分けられます。
この分野の商品は、馬刺し、レバ刺し、ユッケと、生で食べるものが占めています。焼いたり煮たりして食べる馬肉は、ここにはほとんど出てきません。贈るかどうかの最初の判断は、味や部位より前のところで決まります。
生の肉を日常的に食べる人と、まったく食べない人がいます。ここは好みの差ではなく、食べるか食べないかの差です。相手が馬刺しの話を自分からしたことがある、旅先で食べたと聞いた、そうした手がかりがあるなら安心して選べます。
手がかりがない相手には、この分野そのものを避けたほうが穏やかです。加熱して食べられる肉の贈り物は他にいくらでもあります。
相手本人が食べる人でも、同じ食卓に生の肉を口にしない家族がいることがあります。小さい子どものいる家、体調の面で控えている人がいる家では、食卓に出す場面が限られます。
そのぶん量は控えめでよくなります。重さは家族の人数ではなく、実際に口にする人の数で数えると、余りません。
冷凍のブロックで届くものは、自分で薄く切ります。凍った塊のままでは刃が入らず、かといって完全に解けてしまうと薄く切れません。中心が凍ったままの半解凍で止めて切るので、解凍の進み具合を見ながら台所に立つことになります。よく切れる包丁も要ります。
スライスされた状態で届くものなら、冷蔵庫で解凍しきってからそのまま皿に並べられます。包丁を握り慣れていて台所に場所のある相手なら、ブロックでも困りません。そうでない相手には、スライス済みのほうが食卓まで届きます。商品名に「スライス」「ブロック」と書かれているので、注文の前に分かります。
馬刺しは凍らせた状態で送られてきます。届いたその日に食べるなら、冷蔵庫に移して待つ時間を先に見ておくことになります。朝に出して夜に食べるくらいの間隔です。
届いたときに冷凍庫が空いているかどうかも、実際には効いてきます。年末年始のように他の食べ物が集まる時期は、置き場所のほうが先に埋まります。日付を指定できるなら、相手に都合を聞いておくと確実です。冷凍庫の小さい家に贈るなら、総量そのものを抑えておくと収まります。
商品名には「約6〜7人前」「約5人前」といった数字が並びます。この数字をそのまま信じて選ぶと、思っていた量と違うものが届きます。人前という言い方が、店ごとに別の重さを指しているからです。
270gを6〜7人前と書いている商品と、250gを約5人前と書いている商品があります。前者は一人あたり40gほど、後者は一人あたり50gです。同じ「人前」でも、一人が食べる量が二割以上違います。
人前の数は、店がそれぞれ決めた一人あたりの量で総量を割ったものです。何人で食べられるかを店の見立てで言い直した数字なので、そのまま量の大小にはなりません。商品同士を比べるときは、総グラム数のほうを見ると揃います。
一人あたりの目安は、どう食べるかで倍以上変わります。酒を飲みながらつまむなら40gほどで足ります。店で一人前として出てくるのもこの量ですが、それは酒の席の小皿の話です。
食事の主菜として、ご飯と一緒に食べるなら100gが目安になります。口にする人が4人いるとして、酒のお供なら160g、主菜なら400gと、必要な量が大きく違ってきます。相手が酒を飲む人かどうかで、一人あたりの量が先に決まります。
50gずつ個別に包装したもの、100gを2袋にしたものなど、小分けの内訳が書かれています。総グラム数が商品同士を比べるための数字だとすれば、袋の数は渡したあとに何回食卓へ出せるかの数字です。
酒のお供の目安が一人40gなので、50gの袋なら1袋で1回ぶんが足ります。250gを50g×5袋にしたものを一人で開けていけば5回、二人で1袋ずつ開ければ2回で4袋を使い、1袋が残ります。一つの塊で届くものより、少しずつ食べたい相手には向きます。
馬刺しには専用の甘めの醤油を使うのが一般的で、家の刺身醤油とは味が違います。商品に小袋の醤油が付いているものと、肉だけのものがあります。付いていれば、届いた日に他を買い足さずに食卓へ出せます。
生姜やにんにくといった薬味は、たいてい付いていません。ここは相手が自分で用意することになります。醤油まで付いていないものだと、買い足しが二つに増えるので、迷ったら醤油の付いたものを選んでおけます。
相手が馬肉を食べ慣れているかどうかで分かれます。食べ慣れていない相手なら、赤身の割合が多いものが確実です。脂の多い部位やたてがみは、口に入れたときの感じが赤身とかなり違うので、好みが出ます。
食べ慣れている相手には、種類の多いものが向きます。中トロやふたえごが少しずつ入っていると、食べ比べる楽しみが出ます。名前を知っている相手ほど、この差が伝わります。
総量を抑えたうえで、小分けの袋の数を見ると決めやすくなります。酒のお供の目安が一人40gなので、50gずつ包装されたものが5袋入っていれば、5回に分けられます。
一度に大きな塊が届くと、解凍したあとに食べ切ることになります。冷凍庫の小さい家ほど、凍らせたまま置いておける量も限られます。小分けにされているものを選んでおくと、残りをそのまま凍らせておけます。
馬肉を選ぶときは、部位の名前より前に決めることが二つあります。
一つめは、相手が生の肉を食べる人かどうか。ここに並んでいるのは馬刺しとレバ刺しとユッケで、焼いて食べる品ではありません。食べる人だと分かっている相手にだけ渡せる分野です。
二つめは、酒のお供にするのか、食事の主菜にするのか。前者なら一人40g、後者なら100gと、必要な重さが倍以上変わります。商品名の「何人前」は店によって指す量が違うので、商品を比べるときに揃うのは総グラム数のほうです。渡したあとに何回食卓へ出せるかは、小分けの袋の数で分かります。
この二つが決まってから、はじめて部位の名前を見る意味が出てきます。食べ慣れていない相手なら赤身の多いものを、慣れている相手ならたてがみやふたえごが少し混ざったものを。産地を理由に選ぶなら、「純国産」と「カナダ産熊本肥育」は別のものを指しています。
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