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ピスタチオは、酒を飲む相手にも、間食を探している相手にも渡せて、日持ちもします。自分で買うには少し高いので、もらって嬉しい食べものです。緑の色が珍しく、箱を開けたときの見栄えもします。木の実のなかでは、名前だけで喜ばれる数少ないものです。
選ぶときに最初に決まるのは、殻が付いているかどうかです。付いているものは、重さの半分近くが殻です。殻付きと殻なしでは、同じ1キロを買っても、食べられる量が倍近く違います。
殻付きのピスタチオは、重さのうち45パーセントほどが殻です。食べられるのは残りの55パーセント。1キロと書かれた袋から出てくる実は、550グラム前後になります。
一粒はおよそ1.1グラム、そのうち口に入るのは0.6グラムほどです。数字で見ると当たり前のようですが、殻なしのものと値段を見比べるときは、ここを合わせないと話が噛み合いません。同じ1キロでも、中身は倍近く違います。
殻付きは、指で割りながら食べます。手を動かさないと口に入らないので、酒を飲みながら少しずつつまむ食べ方に合います。菓子のように一気に減りません。
そのかわり、殻がたまります。皿がもう一枚要りますし、外で食べるなら捨てる場所も要ります。人が集まる席に持っていくなら、殻を入れる器が出る場面かどうかも効きます。
殻を割るには爪の力が要るので、年配の相手や、手を痛めている相手には向きません。口の開き方が浅い殻が混ざっていると、相手が道具を持ち出すことになります。せっかく渡しても、袋のまま置かれます。
殻なしのものは値段が上がりますが、そのまま口に入れられます。手を汚さずに食べられるので、仕事の合間につまむ相手にも渡せます。殻付きか殻なしかは、値段だけで決める話ではなく、相手の手の話でもあります。
減り方も変わります。殻付きは一粒ずつ手が止まるので、少ない量でも時間が持ちます。殻なしは次々に手が伸びるので、同じ重さでも早くなくなります。どのくらいの期間で食べ切ってほしいかでも、選ぶものが変わります。
イランで採れたものは、実の緑が濃く、薄皮が紫がかっています。噛んだときの甘みとコクが強く出るので、酒に合わせる相手には効きます。深く煎ったものが多いのも、その味に合わせて煎っているからです。
殻がほとんど割れているのも特徴です。開いた口から指を入れられるので、手間がかかりません。色の濃さと甘みで選ぶなら、イラン産になります。
アメリカで採れたものは、粒が大きく、色は淡い緑です。味は穏やかで、甘みが立ちすぎません。癖が少ないので、続けて食べても飽きが来ません。
そのかわり、割れていないものが混ざります。開いていない殻は指では開かないので、開いていない粒だけが残ります。粒の大きさを喜ぶ相手や、味の癖を避けたい相手には、こちらが向きます。
ピスタチオでは、産地が商品名の目立つところに置かれています。書かれていない商品はほとんどありません。緑の濃さと甘みを取るか、粒の大きさと穏やかさを取るか。この二つで一つ絞れます。
値段が高いのは、木が実を付けるまでに時間がかかるからです。植えてから最初の収穫まで六年から七年、安定するまでは十年近くかかります。一年おきに実の多い年と少ない年が来る性質もあります。相手にとって「自分では買わないもの」になっているのは、そういう理由です。
殻を外したものは、そのままつまむだけでなく、菓子や料理に使われます。刻んで振りかける、生地に混ぜる、すりつぶしてペーストにする。どれも、殻を割るところから始めていては手が足りません。
商品の説明に「製菓」「製パン」と書かれているのは、殻を割る手間がないからです。台所に立つ相手には、殻なしのほうが使い道が広くなります。焼き菓子を作る家に殻付きを渡すと、割る作業から始めさせることになります。
ピスタチオは、味だけでなく色で選ばれます。刻んで白い生地に散らすと、緑が点々と入ります。すりつぶせば、鮮やかな緑のペーストになります。ほかのナッツでは出ない色です。
色を使いたい相手には、薄皮まで外したものが向きます。薄皮が付いていると、混ぜたときに色がくすみます。強く煎ったものも色が沈みます。
色を目当てにするなら、産地よりも先に効くのが煎り方と薄皮の有無です。濃い緑の実でも、強く煎ってあれば色は落ちます。緑を残したいなら、軽く煎ったものです。
塩を振ったものは、そのままつまむための形です。酒に合いますし、味が付いているぶん手が伸びます。ただし、菓子には使えません。生地に混ぜると塩気が残ります。
塩の付いていないものなら、つまむのにも使うのにも回せます。相手が料理をするかどうか分からないなら、塩のないほうが行き先を狭めません。逆に、酒の肴として渡すと決めているなら、薄く塩を振ったもののほうがその日から手が伸びます。
薄塩と書かれたものは、塩気が軽く付いている程度です。しっかり塩の効いたものと比べると、そのままでも料理でも使える幅が残ります。どちらとも決めきれないときの逃げ場になります。
相手の手が読めないなら、殻なしです。割る力が要らないので、年配の相手にも渡せます。値段は上がりますが、袋のまま置かれる心配がありません。
殻付きが合うのは、酒を飲みながら少しずつつまむ相手です。手を動かすぶん一度に減らないので、長く楽しめます。逆に、外で歩きながら食べるような場面には向きません。
聞ける間柄なら、先に聞くのが確実です。木の実が体に合わない人がいますし、家族の誰かが気をつけている家もあります。ピスタチオはとくに知られている木の実なので、避けている家では最初に外されます。
分からないまま渡すより、別のものに振るほうが安全です。相手の家族構成が分からないときや、子どもの小さい家に渡すときは、聞く一手を省かないほうが確かです。
決めるのは、殻の有無と、産地と、塩の有無の三つです。殻で食べられる量と相手の手が、産地で味と色が、塩で行き先が決まります。
酒を飲みながらつまむ相手には、殻付きを。手を動かすぶん一度に減らず、長く持ちます。イラン産なら甘みとコクが強く、殻もほとんど開いています。
年配の相手や、手を汚したくない相手には、殻なしを。1キロと書かれていても実は半分ちょっとしかない殻付きと比べれば、割高には見えません。菓子を作る家にも、こちらが役に立ちます。
菓子の色に使ってもらうつもりなら、薄皮の有無と煎りの強さまで見ます。どちらも色を沈ませる側に効きます。
料理をするかどうか読めないなら、塩を振っていないほうを選んでおくと、行き先が狭まりません。塩は後から足せますが、振ってあるものから抜くことはできません。迷いの向きは、そこで一方に決まります。
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