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味噌汁に一つまみ、酢の物に一つまみ。わかめは毎日の食卓で少しずつ減っていくので、すでに家にある相手へ贈っても、余らせて困らせることがありません。
贈るものを選ぶとき、最初に決めるのは加工です。生、塩に漬けたもの、乾かしたもの。この三つで、同じ重さの表記でも食べられる量がまるで変わります。
もう一つ、わかめは葉だけを指す言葉ではありません。茎とめかぶも同じ海藻の別の場所で、それぞれ別のものとして売られています。
いちばん一般的なのは葉の部分です。味噌汁、酢の物、サラダに使われるのはここで、ただ「わかめ」と書かれていれば葉のことを指します。
茎わかめは、葉の中央を縦に通っている芯の部分です。葉よりずっと硬く、噛むとコリコリします。炒め物、煮物、漬物に使われるのは、この歯ごたえがあるからです。
めかぶは根元にあるひだの多いところで、春先に胞子を出す器官にあたります。葉より細かくひだが寄っていて厚みがあり、納豆のように糸を引きます。めかぶは暗い褐色をしていますが、ゆでると葉と同じ鮮やかな緑に変わります。
「生わかめ」と書かれていても、そのほとんどは一度湯通ししてある状態です。採ったままではなく、すぐ食べられるところまで手が入っています。
塩蔵わかめは、その湯通ししたものに塩をまぶして漬けたものです。塩を打つことで、冷蔵で三か月ほどもつようになります。商品名の「湯通し塩蔵」は、この二段の手順をそのまま書いたものです。
乾燥わかめは、水を抜いてあるぶん塩蔵よりずっと長く置けます。そのまま乾かした素干し、草木灰をまぶして乾かした灰干し、細かく刻んで乾かしたカットわかめの三つがあります。よく見かけるカットわかめは、塩を抜いた湯通し塩蔵わかめを刻んで乾かしたもの。塩蔵を経てから乾かす、という順番になっています。
三陸で採れるものはナンブワカメ型と呼ばれます。茎が長く、葉の切れ込みが深く入る型です。
鳴門海峡で採れるものはナルトワカメ型です。こちらは茎が短く、葉の切れ込みが浅くなります。
同じ「わかめ」でも、葉の形からして別の型です。産地の名前は、味の好みを言う前に、まず葉の姿を指しています。
乾燥わかめは水に浸けると、およそ12倍の重さに増えます。1グラムが12グラム、2グラムなら24グラム。大さじ1杯にあたる3グラムなら36グラムほどです。
袋に100グラムと書かれていれば、戻したときには1.2キロほどになります。乾物の袋が思ったより小さく見えるのは、この差があるからです。
塩蔵わかめのほうは、もとから水を含んだ状態で袋に入っています。500グラムと書かれていれば、届くのはその重さのまま。乾燥の100グラムと塩蔵の500グラムを並べると、食べられる量では塩蔵のほうが少なくなります。
乾燥わかめは、味噌汁一人分で1グラムが目安です。小さじ1杯ですくえるくらいです。
四人家族なら、味噌汁一回で4グラム。週に三回作るなら、ひと月で50グラムほど減っていく計算です。この当てを持っておくと、袋のグラム数がそのまま何か月ぶんかとして読めます。
乾物は場所を取らないので、多めでも邪魔になりません。ただし封を開けてから使い切るまでが長くなるので、袋の口が閉じられる作りかどうかは見ておきたいところです。
塩蔵わかめは冷蔵で置くものなので、届いた日から冷蔵庫の場所を一つ取ります。500グラムの袋となると、その場所は小さくありません。
乾燥わかめのほうは常温で置けます。封を閉めておけば、相手が減らしていくのをゆっくり待てます。
相手の家の冷蔵庫がどれくらい空いているかは読めません。まとめて渡したいなら、場所を取らない乾燥のほうが受け取る側も楽になります。
わかめの旬は2月から5月です。寒いうちに生えてくる新芽がいちばんおいしいとされています。
鳴門わかめの旬は1月から3月。ひと足早く始まって、早く終わります。同じ月でも、三陸ならまだ旬の内、鳴門ならもう終わり、ということが起こります。
そのうち2月から3月ごろに採れたものが、新物、新わかめと呼ばれます。商品名にその年の年号を付けて「新わかめ」と書かれているのは、この時期のものです。米や茶の新物と同じで、その年に採れたばかりだという表示になります。
出回っているわかめは、輸入と国産でおよそ八対二から七対三の割合です。輸入されてくるものの多くは、韓国と中国から来ます。
国内で養殖されているのは岩手、宮城、徳島の三県が主で、岩手と宮城の三陸わかめが国産の九割ほどを占めます。徳島がつまり鳴門です。
商品名に「国産」「三陸産」「鳴門産」と書かれているかどうかで、どちら側を見ているかが分かります。書いていなければ、多数派である輸入のほうを見ていることになります。
わかめは、黒褐色でつやのあるものがよいとされています。色が抜けていたり、つやのないものは避ける側です。乾燥わかめも見るところは同じで、黒褐色をしているものです。
葉の厚みのほうは、平均すると三陸、鳴門、韓国、中国の順に薄くなっていきます。厚いものは歯ごたえがしっかり残り、薄いものはやわらかくなめらかな口当たりです。
歯ごたえのあるものを好む相手なら三陸産へ、口当たりのやわらかいほうが合いそうなら薄い側へ。厚みは写真では分かりにくいので、そこは「肉厚」と書かれているかどうかで拾うことになります。
かかります。塩蔵わかめは塩を打って保存してあるので、料理は塩を抜くところから始まります。
カットわかめが「塩を抜いた湯通し塩蔵わかめを刻んで乾かしたもの」と説明されるのは、その工程を売る前に済ませてあるからです。乾燥わかめなら、袋から出して水に浸けるだけで戻ります。手間の数でいえば、塩蔵のほうが一つ多いことになります。
台所に立つ時間の長い相手なら、このひと手間で困ることはありません。手早く済ませたい相手には、乾燥のほうが最後まで使ってもらえます。
どの部位を渡すか、どの加工にするか、産地と時期をどう合わせるか。順に当てていくと、渡す一袋が決まります。
部位は、味噌汁に入れる葉、コリコリした茎わかめ、糸を引くめかぶ。同じ海藻の別の場所なので、届いたあとの使われ方がまるで違います。
加工で変わるのは三つあります。重さの読み方と、置き場所と、下ごしらえの手間。乾燥は戻すと約12倍で、常温に置けて、水に浸けるだけで使えます。塩蔵は水を含んだままの重さで、冷蔵庫の場所を取り、塩を抜くところから始まります。
産地では、三陸が茎の長い深い切れ込み、鳴門が茎の短い浅い切れ込み。旬は2月から5月で、鳴門だけ1月から3月と早く動きます。国産は出回っているうちの二割から三割なので、産地が書いてあるかどうかが手がかりになります。
毎日味噌汁を作る家には、常温でゆっくり減らせる乾燥のカットわかめを。1月から3月のあいだに渡せるなら、その年の新わかめを。歯ごたえのあるものを好む相手には、葉の厚い三陸産を。同じ「わかめ」でも、これだけ行き先が分かれます。
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