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日本酒を飲む人でも、少し値の張る一本を自分で買うことはそう多くありません。純米大吟醸は、その一本として渡せます。
ただ、これは幅の広い呼び名です。米をどれだけ削ったかが条件の一つになっていて、50パーセントより多く残したものは名乗れません。反対に、どこまで削ってよいかは決まっていないので、同じ名前で45パーセントのものと23パーセントのものが並びます。
数字が小さいほど、元の米を多く捨てています。値段の差がどこから来ているかは、この数字で読めます。
純米大吟醸の条件の一つが、精米歩合50パーセント以下であることです。50をわずかに切ったものも、45も、35も、23まで削ったものも、名前の上では区別されません。
商品名に「磨き四割五分」「磨き二割三分」といった書き方が出ているのは、そのためです。四割五分は45パーセント、二割三分は23パーセントを指します。数字が小さいほど、米の外側を多く削り落としてあります。
精米歩合23パーセントということは、玄米の八割近くを削り落として、真ん中だけを使うということです。同じ量の酒を造るのに、50パーセントのものより倍以上の玄米が要ります。
削る作業そのものにも時間がかかりますし、低い温度でゆっくり発酵させるには、日数と温度の管理が増えます。値段の差は、そこから来ています。味が二倍よくなるという話ではありません。
一つの蔵が、45パーセントのものと23パーセントのものを別々に売っていることがあります。米も水も造り方も同じで、削り具合だけが違うという並び方です。
蔵をまたいで比べると、土地の違いも造り手の違いも混ざって読めなくなります。同じ蔵の中でなら、数字だけを見て比べられます。相手がその蔵の酒を飲んだことがあると分かっているなら、もっと削ったほうを渡す、という選び方ができます。
純米大吟醸の華やかな香りは、造る途中で生まれるものです。果物を入れているわけではありません。その香りを作る成分が大きく二つあって、片方はりんご、洋梨、白桃といった果物の香りに近くなります。
商品の説明に「りんごのような」「洋梨を思わせる」と書かれていたら、この系統です。飲み口はすっきりした側に寄ります。
もう一方の成分は、バナナやメロンに近い香りになります。りんごの側より丸みがあって、甘い印象が残ります。
どちらが上ということはありません。相手が果物の香りのする日本酒を好むと分かっているなら、そこから系統を選べます。分からないなら、商品説明に果物の名前が出ているかどうかだけでも見ておくと、香りを売りにしている一本かどうかは分かります。
10度から15度くらいが、味も香りも出る温度です。冷蔵庫から出してすぐだと冷えすぎていて、せっかくの香りを感じにくくなります。氷を入れて出すようなものではありません。
つまり、渡したあとに冷蔵庫の場所を取ることになります。四合瓶なら場所を選びませんが、一升瓶は冷蔵庫の一段を占めます。相手の家の空きが読めないなら、大きいほうは選びにくくなります。
削って造った酒は、雑味が少なく、香りが前に出ます。その方向がそのまま好みに合うとは限りません。米の味が濃く残った酒を好む人には軽く感じられますし、香りの強い酒が苦手な人には立ちすぎに感じられます。
「純米大吟醸なら外さない」という考え方は、値の張る一本を渡すという点では当たっていますが、味が合うかどうかは別の話です。相手がふだん何を飲んでいるかを一度でも見たことがあるなら、そこから離れすぎない一本のほうが確かです。
商品名にも説明にも数字が出ていないものがあります。ただし、純米大吟醸を名乗っている以上、50パーセント以下であることは決まっています。書いていないのは、そこを売りにしていないというだけです。
数字を前に出している商品は、削り具合そのものを見どころにしています。出していない商品は、香りや味の組み立てのほうを見せています。数字がないから劣るという読み方をすると、選ぶ範囲が狭くなります。
商品名にこの三つが並んでいることがあります。無ろ過は仕上げのろ過をしていないこと、生は加熱していないこと、原酒は水で薄めていないことを指していて、それぞれ別の工程の話です。三つとも省いたものが「無ろ過生原酒」です。
効いてくるのは、水で薄めていないという一点です。普通はアルコール分を15パーセント前後に調えるところを、原酒は18パーセント前後になります。同じ量を飲めば、そのぶん回りが早くなります。お酒に強くない相手や、食事をしながら少しずつ飲む相手には、そこを外しておくほうが無難です。
還暦や退職の祝いに、名前や日付をラベルに刷り込めるものが売られています。箱ごと飾れる仕立てになっているものもあります。
ただし、名前の入った瓶は開けにくくなります。飲むために造られたものなのに、飾ったまま何年も置かれることがあります。渡す相手が、記念のものを取っておく人なのか、良い酒はその日のうちに開ける人なのか。前者だと分かっているなら、名前は箱のほうに入れて、瓶そのものは普通のラベルにしておく手もあります。
精米歩合が50パーセントに近いもののほうが、幅が広くなります。削り具合が浅いぶん米の味が残るので、香りの強い酒を飲み慣れていない相手でも、飲みにくいということになりません。
23パーセントのような、多く削ったものは、その香りと軽さを好む人にはよく届きますが、そうでない人には物足りなく感じられます。数字を追いかけるのは、相手がその蔵の酒を飲んでいると分かってからでも遅くありません。
冷蔵庫の空きが読めないなら、四合瓶です。一升瓶は冷やす場所を大きく取りますし、開けたあとに飲みきる日数も長くかかります。
二本にすると、香りの系統を分けられます。りんごの側とバナナの側を一本ずつ、あるいは同じ蔵の精米歩合違いを二本。並べて飲み比べてもらえるので、一本に絞って当てにいくより外れが小さくなります。一升瓶が生きるのは、人の集まる家か、その蔵の酒を相手が気に入っていると分かっている場合です。
削り具合、香りの系統、ラベルの読み方。この三つで、渡す一本が決まります。
精米歩合は50パーセントより多く残したものが名乗れないだけで、どこまで削るかは決まっていません。45も23も同じ名前です。数字が小さいほど元の米を多く捨てているので、値段はそこで開きます。同じ蔵が精米歩合違いを出していれば、その数字だけを見て比べられます。
香りはりんごや洋梨の側と、バナナやメロンの側に分かれます。商品説明に出ている果物の名前で読めます。どちらにしても冷やして出すものなので、冷蔵庫の場所を頼むことになります。
相手がその蔵の酒を飲んでいると分かっているなら、もっと削ったものを一本。分からないなら、50パーセントに近いものを四合瓶で、香りの系統を分けて二本。数字の小さいほうが上、という順番で選ぶと、相手の好みからは離れていきます。
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