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好きな銘柄が決まっている相手でも、飲んだことのない蔵のものなら、家にあるものと重なりません。何種類か並んでいれば、そのうちのどれかは口に合います。
飲み比べのセットで先に見るのは、瓶の大きさと本数です。日本酒は栓を開けたところから味が動くので、飲みきるまでの日数と量が噛み合っていないと、あとの一本が本来の味で飲まれません。
商品名に並ぶ大吟醸、吟醸、本醸造といった言葉は、酒の格付けではなく、造り方の区分です。決めているのは二つ。米をどれだけ削ったかと、醸造アルコールを加えているかどうかです。
玄米の外側を削り、残った割合を精米歩合と呼びます。精米歩合50パーセントなら、半分を削り落として半分だけ残したものです。数字が小さいほど、多く削ったことになります。
外側にはたんぱく質や脂質が多く、これが残ると雑味になります。削るほど透明感のある味に寄り、そのぶん米も手間もかかるので値段が上がります。大吟醸は50パーセント以下、吟醸は60パーセント以下、本醸造は70パーセント以下と決められています。
名前に純米が付くもの、つまり純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒には、醸造アルコールが入っていません。米と米こうじと水だけで造られます。
純米の付かない本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒には醸造アルコールが加えられています。加えると雑味が抑えられて、すっきりした飲み口になります。量は白米の重さの一割を超えないと決められているので、量を増やすためのものではありません。
純米大吟醸なら、半分より多く削り、醸造アルコールを加えていないもの。大吟醸なら、同じだけ削って醸造アルコールを加えたもの。純米酒とだけ書かれているものは、削る割合に決まりがなく、醸造アルコールも加えていないものです。
飲み比べのセットには、区分の違うものを混ぜたものと、同じ区分で蔵だけを変えたものがあります。前者なら造りの違いが出て、後者なら土地や水の違いが出ます。名前を読めれば、飲む前にどちらの比べ方をするセットかが分かります。
日本酒の瓶には、決まった大きさがあります。720ミリリットルの四合瓶、1800ミリリットルの一升瓶、それに300ミリリットル前後の小瓶。飲み比べのセットは、このどれかを何本か組んだ形になります。
一合が約180ミリリットルで、その四倍が四合瓶です。十合で一升、1800ミリリットルになります。尺貫法という古い単位が、酒の瓶にはそのまま残っています。
四合瓶は「よんごうびん」とも「しごうびん」とも読みますが、祝いの席では「し」の音を避けて前者が使われます。渡すときに口に出す機会があるなら、そちらで読むほうが無難です。
栓を開けると空気に触れて味が動き始めます。火入れをしていない生のものなら三日から五日、香りを立てた吟醸のものなら一週間、それ以外なら一週間から二週間が、おいしく飲める目安とされます。
生の吟醸のように両方に当てはまるものは、短いほうで見ます。開けたてそのままの味を追うなら、どれも三日から五日のうちです。
300ミリリットル前後の小瓶なら、一人でも一晩か二晩で空きます。五本入っていても、一本ずつ順に開ければ、どれも開けたてに近い状態で飲めます。
720ミリリットルは、二人で飲むなら二晩ほど。一人だと数日かかるので、開けたてを比べるという趣旨からは少し外れます。一升瓶が何本も入ったセットになると、一人で開けていくうちに最初の一本と最後の一本で状態が変わります。何人かで集まって開ける前提の量です。
火入れをしていない生酒は、栓を開ける前から冷蔵庫に置くことになります。常温に置くと味の変わりが早く、酸味が出てきます。
火入れをした酒なら、開けるまでは暗くて涼しい場所に置けます。相手の冷蔵庫の空きが読めないなら、生の付いていないもののほうが、届いたその日から場所を空けてもらわずに済みます。
日本酒は、五度違うだけで香りの立ち方が変わります。冷やして飲む酒と、温めて飲む酒があり、同じセットの中でも向き不向きが混ざります。
五度のものを雪冷え、十度を花冷え、十五度を涼冷えと呼びます。雪冷えは冷たさが先に来て香りが控えめになり、花冷えでは香りが出てきりっとした飲み口になり、涼冷えでは米の旨みが出て食事に合わせやすくなります。
二十度から二十五度、つまり室温に置いたものは冷やと呼ばれます。冷やという言葉は冷たい酒のことだと思われがちですが、指しているのは常温のほうです。冷たくしたものは冷酒と書き分けられます。
温めて飲む場合も幅があります。三十度あたりでは香りがふくらむ程度ですが、五十度を超えると立ち上がり方が強くなり、口に入れたときの広がりも変わります。
熱くすれば良くなるというものではありません。酒によって合う温度が違い、上げすぎると香りが飛びます。電子レンジでも温められるので、道具がそろっていない家でも試してもらえます。
米を深く削った大吟醸や、火入れをしていない生酒は、冷たい温度帯で飲むのが一般的です。温めると、削って引き出した香りが抜けてしまいます。
温めて味が開くのは、削りの浅いものです。純米酒とだけ書かれたものや本醸造酒がこれにあたります。同じ純米でも、純米大吟醸は冷やす側なので、名前の前半だけを見て決めると外します。相手が冷たいまま飲む人か、温めて飲む人か。そこが分かっているなら、中身の名前から選び分けられます。
相手が一人で飲むなら、300ミリリットル前後の小瓶を何本か。一本が一晩か二晩で空くので、次の一本を開けたてで飲めます。飲み比べという形が生きるのは、この大きさからです。
何人かで囲む家なら、四合瓶が二本という組み合わせでも空きます。避けたいのは、相手の飲む量を知らないまま一升瓶を何本も送ることです。冷蔵庫にも棚にも入らず、開けたあとの味も落ちていきます。
米を深く削ったものが入っているセットなら、飲み慣れていなくても瓶ごとの差が分かります。純米大吟醸や大吟醸は香りが立つので、一口目で他との違いが出ます。
そのうえで、冷やして飲むものから始めてもらうと無理がありません。冷蔵庫に入れておくだけで飲めるので、温度を測ったり温めたりする手間が入りません。日本酒を飲み慣れた人向けに組まれたセットには、味の傾向を示す言葉だけが並んでいることがあります。名前から中身の読めるもののほうが、初めての相手には親切です。
瓶の大きさと本数、名前の読み方、飲む温度。この順に見ていくと、贈る一箱が決まります。
先に決まるのは量です。開けてから飲みきる目安は、生のもので三日から五日、吟醸のもので一週間、それ以外で一週間から二週間。一人で飲む相手に一升瓶を何本も渡すと、最後の一本は本来の味になりません。小瓶を何本かなら、どれも開けたてで飲んでもらえます。
名前は、削りの深さと醸造アルコールの有無で決まります。大吟醸がいちばん深く削ってあり、吟醸、本醸造の順に浅くなります。純米が付けば、米と米こうじと水だけで造られています。削るほど透明感が出て、値段も上がります。
温度は、五度の雪冷えから五十度台まで幅があります。香りを立てた大吟醸や生酒は冷たい側、削りの浅い純米酒や本醸造酒は温めても開きます。純米大吟醸は名前に純米が付きますが、冷やす側です。
一人で晩酌をする相手には、小瓶を五本ほど。何人かで囲む家なら、四合瓶を二本でも足ります。日本酒に慣れていない相手には、大吟醸の入ったものを冷やして飲んでもらう形が伝わります。温めて飲むのが習慣だと分かっているなら、削りの浅いものに寄せたセットが合います。
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