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好きな銘柄を言い当てなくても渡せるのが、日本酒の飲み比べセットです。何本かまとめて届くので、そのうちのどれかは口に合います。自分では一本ずつ買い足すものなので、並べて味を比べる機会そのものが贈り物になります。
商品名には「純米大吟醸」「大吟醸」「特別純米酒」といった名前が並びます。これは蔵が自由に付けた売り文句ではなく、決められた条件を満たしたものだけが名乗れる区分です。読み方が分かると、中身の見当が付きます。
「純米大吟醸」「大吟醸」「特別純米酒」といった呼び名は、二つのことを表しています。米をどれだけ削ったかと、醸造アルコールを加えているかどうかです。
大吟醸がいちばん多く削ったもので、次が吟醸、その次が本醸造。削るほど使う米が増えて手間もかかるので、そのぶんが値段に出ます。
商品名の「純米大吟醸入り」がセットの格を示す言葉として使われるのは、そのためです。改まった相手へ渡すなら、この名前が入っているかどうかが目印になります。
もう一つの物差しが醸造アルコールです。加えていないものだけが「純米」と名乗れます。純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒の四つがこれにあたります。
「純米」が付かない本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒には、醸造アルコールが加えてあります。
醸造アルコールには香りを引き立てる働きがあるとされています。同じだけ削ってあっても、大吟醸のほうが純米大吟醸より、香りが立ってすっきりした飲み口になります。
つまり上下ではなく、方向の違いです。米の味を厚く出したいなら「純米」の付くほう、香りを取りたいなら付かないほう。飲み比べセットに両方が入っていれば、その違いをその場で確かめてもらえます。
商品名に「特別純米酒」と書かれたものがあります。純米酒の中で、何かしら手をかけたものに付く呼び名です。
ただし何が「特別」なのかは商品ごとに違います。削り方なのか作り方なのかは、商品ページの説明を読まないと分かりません。さきの二つの物差しだけでは中身が決まらないのは、この呼び名くらいです。
商品名に「生酒」「生詰」「生貯蔵」と書かれたものがあります。しぼった酒を六十度ほどに温めて、それ以上は発酵が進まないようにする工程を、省いたり回数を減らしたりしたものです。
この工程を通したものは、日の当たらない涼しい場所であれば常温で置けます。対して生酒は、開ける前から冷蔵が要ります。届いた日に冷蔵庫を空けてもらうことになるので、相手の庫内に余裕があるかどうかが先に来ます。
飲みきる時期も変わります。常温で置けるものが一年ほどもつのに対し、生酒は未開封でも六か月から九か月、香りを味わうなら三か月ほどが目安とされます。渡してから飲むまでに間が空きそうな相手には、「生」の付かないほうが確かです。
同じ飲み比べセットでも、瓶の大きさが違えば別の贈り物です。日本酒は開けたあとの変わりが早いので、そこから逆に容量を決められます。
開栓してからは三日から五日のうちに飲むのがよいとされています。一週間を過ぎると味が変わってきます。
つまり一本を開けたら、そこから数日はその酒を飲むことになります。次の一本に移るのはそのあとです。一晩に飲む量を思い浮かべて、この日数で割ると、どの大きさが合うかが出ます。
商品名の「飲み切り300ml」「ミニボトル」は、一人なら一度か二度の晩酌で空く量です。開けてから日をまたぎません。
五本入っていれば、五回ぶん違う酒を飲めます。毎日は飲まない相手や、少しずつ味わう相手にも渡せます。飲み比べを渡す形としては、これがいちばん素直です。
720ml、いわゆる四合瓶が、日本酒の標準の大きさです。300mlを一度か二度で空ける人なら、四合瓶はちょうど三日から五日で空く計算になります。開栓後の目安とぴったり合う大きさです。
二人で飲む家なら二日ほどで空きます。晩酌をする相手には、この大きさがいちばん無理をさせません。冷蔵庫に入る高さのものが多いので、置き場所も困りにくくなります。
一升瓶は四合瓶の二倍半です。一人で三日から五日のうちに空けるのは、かなり飲む人でないと届きません。複数人で飲む家か、毎日欠かさない相手向けになります。
置き場所も別の問題になります。冷蔵庫に入らないことが多いので、開けたあとは小さい瓶に移すか、涼しい場所に立てて置くことになります。商品名に「一升瓶 5本組」とあるものは重さも相当なので、渡し方まで決めてから選びます。
この分野に並んでいるのは、どれも飲み比べのセットです。一本だけを箱に入れた形は出てきません。
日本酒は蔵ごとに味の方向が違います。一本を選んで渡すには、相手が何を好むかを知っている必要があります。
セットなら、入っている中のどれかは口に合います。銘柄に詳しくなくても渡せるのは、この形だからです。商品名に「利き酒シート付」「体験型ギフト」と書かれたものがあるのは、比べること自体を中身にしているためです。
商品名に「全国新酒鑑評会 金賞蔵」「最高金賞受賞酒入り」と書かれたものが並びます。全国新酒鑑評会は1911年に始まった、その年の新酒を見る会です。
「金賞蔵」は、その蔵が賞を取ったという意味です。セットに入っている一本が賞を取ったわけではありません。技術の確かな蔵が造ったもの、という読み方になります。銘柄で選べないときの手がかりにはなります。
商品名に「蔵元直営」「蔵元直送」と書かれたものがあります。化粧箱や説明書、のしまで整えて送ってくれるものが多く、贈答の形がそろいます。
商品名の「説明書付」は、飲む人に何を飲んでいるかが伝わる形です。飲み比べは並べて比べてこそなので、どれがどれか分かる紙が入っていると、渡した意味がそのまま届きます。
飲まない相手に渡すと使い切れません。開けたあと数日で味が変わるので、置いておくこともできません。冷蔵庫の場所も取ります。
たまに飲む程度と分かっているなら、300mlの小さいものにしておけば負担になりません。まったく飲まない相手なら、日持ちのする食品や道具に振るほうが喜ばれます。量の多いセットは、相手が晩酌をする人だと分かっているときの選び方になります。
商品名に「辛口」「すっきり」と書かれたものがあります。甘さの少ない方向をまとめて指した言い方なので、目印にはなります。
ただし辛口の中でも味の幅は広く、蔵によって別のものです。「辛口が好き」と聞いているなら手がかりになりますが、それだけで一本に絞れるほど細かい表示ではありません。飲み比べのセットなら、その幅ごと渡せます。
相手が晩酌をする人だと分かっているなら、720mlの四合瓶をお勧めします。開栓後の目安である三日から五日で、一人でもちょうど空く大きさです。冷蔵庫に入る高さのものが多く、置き場所でも困らせません。
どのくらい飲む人か読めないなら、300mlを五本にします。一本が一度か二度の晩酌で空くので、開けたまま置かせません。飲むかどうかも分からないなら、この分野そのものを外すほうが確実です。一升瓶は、置き場所まで見当が付く相手に限ります。
中身は「純米」が付くかどうかで方向が分かれます。米の味を厚く出したいなら純米の付くもの、香りの高さなら付かないもの。どちらがよいか分からないときこそ、両方入ったセットが役に立ちます。
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