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牛肉の詰め合わせは、ふだんの買い物ではそうそう出てこない値段です。届いた日が、そのまま家族の集まる日になります。人数分を切り分けて焼けば、その一皿で食卓の主役が決まります。
同じ「セット」の名前で、焼いて食べる肉と、鍋で煮る薄切りと、すでに火が通ったものが並んでいます。相手の家の台所でその日に何をしてもらうのかが、最初の分かれ目です。
もう一つ、商品名の読み方に癖があります。和牛、国産牛、A5。並んでいる言葉は、それぞれ違うことを指しています。
三つとも肉の格を表す言葉のように見えますが、見ているところが違います。ここを読み分けられると、同じ金額でも中身の違うものが見分けられます。
和牛と呼べるのは、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の四つの品種だけです。市場に出ている和牛の九割以上は黒毛和種で、銘柄牛と呼ばれるものもこの品種から生まれます。
国産牛のほうは、育った場所で決まります。外国で生まれた牛でも、日本で三か月以上、しかも外国にいた期間より長く育てられていれば、国産牛として売れる。乳牛や、乳牛と和牛をかけ合わせた牛も、ここに入ります。血統を言っているのが和牛、育った場所を言っているのが国産牛で、比べる物差しが最初から違います。
「黒毛和牛 国産牛 六種」というように、両方の言葉を並べた商品名があります。全部が和牛なのではなく、和牛の部位と国産牛の部位を組み合わせた中身です。
外国産が混ざる組もあります。牛タンだけは米国産、というように、品目ごとに産地が分かれているものがある。すべてを一つの銘柄でそろえた組と、混ぜて品数を作った組では、同じ六種でも中身が別ものです。産地の書き分けは商品名か商品ページに出ています。
等級はアルファベットと数字の組で表されます。アルファベットは一頭からどれだけ肉が取れるかの等級で、AからCの3段階。作る側から見た取れ高の話なので、味の評価ではありません。
数字のほうが肉質の等級で、色つや、締まりときめ、脂肪の色と質、そして脂肪の入り方の四つを1から5で見ます。霜降りの入り方を強く見る仕組みなので、赤身のうまみは点数に出てきません。等級が上がるほど脂の乗った肉になると読めば、値段の開きの理由も見えてきます。
ミスジ、イチボ、火打ちとも呼ばれるトモサンカク。焼肉の組にこうした名前が並ぶと、一段上の値段が付きます。トモサンカクは後ろ足の付け根の肉で、一頭から2キロか3キロほどしか取れません。
同じ牛でも、部位によって取れる量が違う。それがそのまま値段に出ています。高いほうの組は、たいてい銘柄と等級で値が付いているか、部位の珍しさで値が付いているかのどちらかです。
種類を混ぜた組は、そのほとんどが焼肉です。薄切りの組もありますが、そちらは種類を数える売り方をしていません。なぜそうなるかが分かると、どちらを渡すかも決まります。
網や鉄板に載せるのは一枚ずつなので、隣の肉と混ざりません。食べる側は、部位が変わっても困らない。むしろ変わったほうが、最後まで飽きずに食べられます。
一枚ごとに種類を変えられるから、商品名も「4点400グラム」「6種600グラム」と、種類の数と重さを並べて名乗る形になります。同じ重さでも、種類の多い組のほうが値段は上がります。
すき焼きやしゃぶしゃぶの肉は、鍋の中で同じ汁に浸ります。何種類か混ぜても違いが出にくいので、一つの部位をまとまった重さで売る形になっている。肩ロース500グラム、ローススライス1キロ、という並び方です。
焼肉の組とは、見るところが変わります。部位はどこか、等級はいくつか、何グラムか。種類の数という手がかりが無いので、この三つで読むことになります。
同じ薄切りでも、しゃぶしゃぶ用は1.5ミリ前後、すき焼き用は2ミリから2.5ミリに切られています。湯にくぐらせるだけの食べ方と、割り下で煮る食べ方とで、要る厚みが違うからです。
商品名の「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」という書き分けは、この厚みの違いを指しています。両方に使えると書いてあるものもあり、その場合もどちらか寄りの厚みで切られている。鍋の食べ方が決まっている相手なら、その名前が付いたほうを選べます。
家で焼肉をするには、卓上の器具か、煙を逃がせる場所が要ります。集合住宅では匂いを気にして、家では焼かないと決めている家もあります。
焼かない家に六種の焼肉を渡すと、フライパンに載せることになる。それでも食べられますが、一枚ずつ違う部位を味わうという組み立ては薄れます。相手の家で焼肉をした話を聞いたことがあるかどうかが、ここでの分かれ目です。鍋を囲む家なら、薄切りのほうへ。
生の肉ばかりではありません。皿に出すだけで食べられるものや、豚や鶏まで入った組も、同じセットの名前で売られています。相手の家がその日にどこまでやるつもりかで、渡すものが変わります。
ローストビーフやハンバーグのように、火を通してから凍らせたものが並んでいます。ローストビーフなら切って皿に扇形に並べるだけで、集まりの一品になります。
台所に立つ時間が取れない相手や、人が集まる日の一皿を増やしたい相手には、火の通ったもののほうが実際に食べてもらえます。焼く道具も、焼く腕も要りません。生の肉を渡して腕を試させるより、そのまま出せる形が向く相手はいます。
牛に加えて豚、鶏、ホルモン、腸詰めまで入った大きな組があります。2キロを超えるものもあり、商品名にも6人から8人といった人数が書かれています。
これは食卓に一皿として出すものではなく、庭や河原で焼く日のためのまとめ買いです。人を呼んで外で焼く習慣のある家に向きます。少人数の家に渡すと、冷凍庫が一段まるごと埋まります。
生の牛肉は、冷蔵のままだと数日しか置けません。冷凍なら半月から一か月ほど先まで持つので、通販の肉は凍らせて送るのが普通になっています。
その半月から一か月のあいだで、受け取った側が食べる日を決められます。相手の予定を知らないまま送るなら、この余地のある冷凍のものを。渡す日が決まっていて、その日のうちに食べてもらえるなら、冷蔵で届くものも選べます。
商品名には「2人から3人前」「6人から8人分」といった人数が書かれています。同じ600グラムでも、焼肉の組と薄切りの組では、書かれている人数が変わります。
人数の表記は、その中身をどう食べる前提で組んだかを表しています。何人で囲むかが分かっているなら、重さと人数の両方が合うものを選べば、余らせずに食べ切ってもらえます。
肉は避けられます。仏事では肉や魚が「四つ足生臭もの」と呼ばれ、殺生を思わせるものとして敬遠されてきました。どれだけ上等な肉でも、法事のお供えとしては外れます。
同じ家に贈るのでも、法要が済んで日が経ってからの手土産なら話は別です。時期が近いなら、菓子や飲みもののほうへ回すことになります。牛肉が強いのは祝いごとの席で、そこと弔いの席では、渡していいものがはっきり分かれます。
銘柄は、育てた土地と、その土地の団体が決めた条件を通ったという印です。ただし何をもって銘柄と名乗るかは土地ごとに違い、全国で一つに決まった線があるわけではありません。同じ銘柄の中にも、等級と部位の幅があります。
名前だけで決めずに、等級の表記と、どの部位が何グラム入っているかを一緒に見ることになります。銘柄でそろえた組は箱を開けたときの印象が強く、部位で選んだ組は食べたときの満足が濃い。どちらを取るかで選び分けられます。
商品名の言葉を読み分けてから、食べ方を決めます。
和牛は血統、国産牛は育った場所、等級のAは取れる量。三つとも別のことを言っているので、並んでいるからといって全部が同じ方向の自慢ではありません。等級は霜降りの度合いで上がっていくので、赤身を好む相手なら、等級を一段落として部位に予算を回すという選び方ができます。
食べ方は、相手の家の台所から決まります。焼く場所のある家なら、部位を混ぜた焼肉の組を。鍋を囲む家なら、部位と重さで選んだ薄切りを。台所に立つ時間が読めない相手なら、切って並べるだけのローストビーフのほうが、実際に食べてもらえます。
家族の集まる日が決まっているなら、部位を並べた焼肉の組を、人数の表記に合わせて。相手の予定が読めないなら、冷凍で待てるものを。改まった相手へ一箱で格を出すなら、銘柄をそろえた薄切りを選んでおけば、名前だけで用向きが通ります。
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