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一枚の昆布から取っただしは、味噌汁にも煮物にも茶碗蒸しにも回ります。贈った相手の台所では、その一枚が献立ぜんぶの下味になっていきます。
まず決まるのは、だしを取ってもらうのか、そのまま食べてもらうのかです。同じ「だし昆布」という名前で、どちらも並んでいます。
そのあとに産地と等級が来ます。産地はそのまま出るだしの色と味を指していて、等級のほうは味ではなく大きさの話です。
昆布は用途で分かれます。だしを取るためのものと、そのまま煮て食べるためのもの。だしが出る昆布が、煮ておいしい昆布とは限りません。
「だし昆布」という名前で並んでいても、細かく刻んだものや、塩昆布のように味を付けたものが混ざります。商品名を最後まで読んで、だし用なのか食べる用なのかを確かめてから決めます。
真昆布から取っただしは、澄み切った上品な甘みになります。
羅臼昆布は知床半島の羅臼町沿岸で採れるもので、「昆布の王様」と呼ばれています。味が濃く、香りが高く、黄色みがかっただしが出ます。
日高昆布は繊維質が少なくて柔らかく、煮上がりの早い昆布です。そのかわり、だしは濁ります。利尻昆布は、京都の料理で長く使われてきました。
乾いた昆布の表面に、白い粉が吹いていることがあります。これはマンニットといううまみの成分で、乾かすときに水分と一緒に表面へ出てきて結晶になったものです。塩昆布の塩とは別のものになります。
カビと間違えて水で洗ってしまうと、そのうまみが流れます。固く絞った濡れ布巾で、汚れを落とす程度になでるのが正しい扱いです。強くこすると表面が傷むので、力も要りません。商品ページの写真に白い粉が写っていても、傷んでいるわけではありません。
賞味期限は一年ほどと書かれているものが多く、開ける前なら常温の冷暗所に置けます。開けたあとは湿気を嫌うので、密閉して置いてもらう形です。渡す量は、一年で使い切れるかどうかで決まります。
昆布には等級があります。長さ、葉の重さ、葉の幅、束ね方によって規格が決まっていて、検査を通ると一等、二等、三等と分けられます。
幅が広くて肉厚のものが一等や二等になり、多少短いものや細いものは三等、四等として束ねられます。
等級は、だしのおいしさに順位を付けたものではありません。同じ産地の同じ昆布を、姿の揃い方で並べ替えたものです。ここを味の格付けだと思って読むと、値段の理由を取り違えます。
商品名に「一等検」と入っているものがあります。検査を通った一等、という意味の表記です。
同じ産地のなかで値段が離れているときは、この差が効いていることがあります。幅が広く厚いほど高くなるので、数字が小さいほど値も張ります。
贈るものとして選ぶなら、幅が広くて厚い一等のほうが姿は揃います。味そのものは等級で決まらないので、そこは値段の説明として受け取ることになります。
育て方でも格付けが分かれます。上に来るのが天然で、下が養殖です。
天然昆布は岩礁に自然に生えたもので、二年経ったものを採ります。養殖はロープに種苗を着けて二年かけたものと、一年で採るものがあります。
商品名に「天然」と書かれていれば、この格付けで上に来るという表示です。等級と合わせれば、同じ産地のなかの値段の並びはだいたい読めます。
思い出したいのは、贈る先の家で出てくる汁物の色です。透き通った吸い物や、素材の色をそのまま生かした煮物が並ぶ家なら、真昆布へ向かいます。
だしの色がそのまま料理の色になる場面では、濁らせないことが味より先に来ます。関西の味付けに馴染んでいる相手なら、京都で長く使われてきた利尻を当てるという手もあります。
かつお節と合わせず、昆布一種類でだしを取る作り方があります。そのときは、味の濃さと香りの高さが、そのまま汁の味を決めます。
羅臼はその濃さで選ばれてきた昆布です。「昆布の王様」という呼び名が付いているので、渡すときに一言添える材料にもなります。
そのかわり、だしに黄色みが出ます。味噌汁や鍋のように色を気にしない家なら問題になりませんが、澄んだ汁を作る家とは重ならない選び方です。
だしを取ったあとの昆布を、刻んで佃煮にしたり、昆布巻に回したりする家があります。そういう相手なら、一枚でだしと具の両方をまかなえます。
日高はその使い方に向いた昆布です。だしを取ったあとに硬く残らないので、そのまま煮る料理へ送れます。
ただし、だしのほうは澄みません。汁物の色を気にする家とは、選ぶものが分かれます。
汁物の色まで思い出せないこともあります。そういうときは、澄んだだしが出て、どの料理にも回る真昆布が当てやすくなります。
そこに「一等検」と書かれていれば、幅が広くて厚い、姿の揃ったものが届きます。産地と等級の二つが書いてある商品は、選ぶときに読む材料が多いということでもあります。
羅臼へ振り替えるのは、相手が昆布だけでだしを立てる人だと分かっているときか、色を気にしない家だと分かっているときだけです。
渡せます。昆布は「よろこぶ」の語呂から慶事の縁起物として知られていますが、精進料理に欠かせない食材でもあって、仏事や神事では古くから使われてきました。
香典返しやお供えとして扱っている店もあり、そのための掛け紙や水引を別に用意しているところもあります。祝いの席にしか使えない品ではありません。
ただし、掛け紙のほうは場面で変わります。祝い用のものをそのまま弔いへ回すことはできないので、注文のときにどちらの用途かを伝えることになります。
だしを取ってもらうのか食べてもらうのか、産地をどこにするか、等級をどこまで見るか。この三つで一枚が決まります。
用途は二つに分かれます。だしを取る昆布と、煮て食べる昆布。「だし昆布」という名前で並んでいても、刻んだものや塩昆布が混ざるので、商品名は最後まで読みます。
産地は、そのまま出るだしの姿です。真昆布は澄み切った上品な甘み、羅臼は濃くて香りが高く黄色みがかり、日高は濁るかわりに煮上がりが早い。利尻は京都で使われてきた昆布です。
等級のほうは、味の順位ではありません。長さと幅と重さで一等、二等と分けたもので、幅が広く厚いほど高くなります。天然と養殖なら天然が上の格付け。値段の理由はこの二つでだいたい読めます。
逆に言えば、等級が下でもだしの出方は落ちません。幅が足りないだけの二等は、切って使うぶんには一等と同じ働きをします。渡す相手が毎日だしを引く人なら、等級より量のほうが効きます。
澄んだ吸い物が出てくる家なら真昆布。昆布だけでだしを立てる家か、汁の色を気にしない家なら羅臼。だしを取ったあとの昆布が佃煮になって出てくる家なら日高。台所の様子が読めないなら、真昆布の一等検にしておけば、どの料理にも回ります。
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