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かまぼこは、火にかけずに、切って皿に並べれば出せるものです。もう一品ほしいときに、冷蔵庫から出してそのまま使えます。
ただし、「かまぼこ」と聞いて思い浮かぶ形は、人によって違います。板に載った白いものを思う人もいれば、平たく焼いたものや、油で揚げたものを思う人もいます。
先に決まるのは、その形です。火の入れ方が違うと、歯ごたえも、味の濃さも変わります。
同じすり身から作っても、火の入れ方で別の食べ物になります。かまぼことして売られているものは、この三つのどれかです。
すり身を成形して蒸したものが、板に載った白いかまぼこです。焼き色を付けずに火を通すので、外も中も白いままです。
歯を当てるとぷりっと返ってきて、かむほどに魚の甘みが出ます。切って並べるだけで一皿になるので、酒の肴にも、弁当のすき間にも入ります。昆布を巻いたものも、この仲間になります。
蒸さずに直接あぶって火を通したものを、焼抜きと呼びます。焼き色が付き、香ばしさが加わります。
平たく伸ばして笹の葉の形にした笹かまぼこも、この作り方です。蒸したものより水気が抜けているぶん、歯ごたえがしっかりします。
油で揚げたものは、東日本では「さつま揚げ」、西日本では「天ぷら」と呼ばれ、同じ西日本でも鹿児島では「つけあげ」になります。同じものを指しているのに、相手の土地によって思い浮かべる名前が違います。
愛媛の宇和島で作られる「じゃこ天」も、揚げかまぼこの一つです。小魚を骨ごとすりつぶすので、色が濃く、味も濃く出ます。魚らしさが立つので、そこを好む相手には強く当たります。
「かまぼこを贈った」と言うと、板に載った白いものを思い浮かべる人がいます。ところが贈り物として売られているのは、笹の形のものや、揚げたものであることもあります。
どれを選ぶかは、相手が何を思い浮かべるかによります。箱の中身が蒸したものなのか、揚げたものなのかは、商品名にたいてい書かれています。そこを読んでから決めれば、話が食い違いません。
かまぼこの世界では、弾力のことを「足」と言います。足が強いというのは、歯を当てたときに押し返してくるということです。この強さが、値段にそのまま出ます。
グチはイシモチとも呼ばれる白身の魚で、すり身にすると弾力が強く、つやのある仕上がりになります。かまぼこに向いた魚として、昔から使われてきました。
原料が高いぶん、値も上がります。高いかまぼこは、この足の強さに払っていると考えて差し支えありません。切って皿に並べたときの見え方も変わるので、人の集まる席に出す相手には、そこが効きます。
いちばん多く使われている魚です。淡白なので、魚の癖が出ません。冷凍のすり身として広く出回っているので、値も抑えられます。
魚が得意でない相手や、子どもの口に入るものなら、癖の出ないほうが最後まで食べてもらえます。
白身のグチを使って蒸し上げ、板の幅からぷっくりとはみ出すように盛るのが小田原の作り方です。その形のまま、土地の名前で呼ばれています。
産地の名前が付いたものは、その土地に伝わる作り方でできています。ただし、使う魚まで土地のものとは限りません。すり身は冷凍で運ばれるので、産地表示は作った場所を指しています。
やわらかいすり身を支えて形を保つために、板に盛って火を通します。木は、かまぼこが出す水分を吸ったり戻したりするので、水気が一定に保たれます。木の香りが魚のにおいをやわらげる働きもあります。
板付きは、切るところから受け取った人に任せる形です。厚く切るか薄く切るかで歯ごたえが変わるので、そこを楽しむ人には向いています。開けてすぐ食べたい相手には、切り分けてあるもののほうが早く出ます。
練り物は日持ちが短く、冷えたまま届きます。留守がちな相手に送ると、荷物が玄関で待つことになります。ここだけは、味より先に来ます。
届いてから食べ切ってもらう前提のものなので、旅行や出張の予定が読めない相手には、日を指定できるかどうかが効きます。
手渡しできる相手なら、そこは考えなくて済みます。帰省の手土産や、訪ねる先へ持っていくなら、受け取りの日を気にせずに渡せます。
一本ものは、封を切ったところから乾きが始まります。切り分けて数日のうちに食べ切ることになるので、一人で暮らす相手には重いこともあります。
一切れずつ包んであるものなら、食べたいぶんだけ開けて、残りは包まれたまま置いておけます。冷蔵庫の中でも場所を取りません。渡す相手が一人か、家族かで、ここが分かれます。
かまぼこは祝いの席のものとして扱われてきました。正月の重箱には、赤いものと白いものを並べる習わしがあります。
その並びがあるので、悔やみの場には合いません。逆に、入学や新築の祝い、年始の挨拶には収まりがよくなります。年の暮れがいちばん動く時期です。
蒸したもの、焼いたもの、揚げたもの。組にしたものなら、そのうちのどれかは相手の口に合います。
一つの形に絞ると外すことがありますが、組ならその心配が要りません。相手の好みが読めない場合ほど、こちらへ寄せておくと収まります。
作り方によります。スケトウダラを使った蒸しかまぼこは、白身の身だけをすりつぶしてあるので、魚のにおいが立ちません。魚を食べない子どもでも口にします。
避けるのは、じゃこ天のように小魚を骨ごとすりつぶしたものです。魚らしさが売りなので、そこが苦手な相手には強く出ます。同じ「かまぼこ」でも、届くものが正反対になります。
構いません。その土地でしか作られていないものは、産地の名前がそのまま通ります。宮城の笹の形も、愛媛のじゃこ天も、旅先で買って帰るのと同じものを送れます。
見ておきたいのは、箱に入って届くかどうかです。商品名か商品ページに「化粧箱」「ギフト箱」と書かれていれば、そのまま渡せます。袋詰めのものは、手渡しには向いても、改まった場では軽く見えます。
火の入れ方、足の強さ、そして受け取れる日。順に見ていくと、選ぶものが見えてきます。
火の入れ方で、届くものが変わります。蒸したものは白くやわらかく、焼抜きは香ばしく歯ごたえがあり、揚げたものは味が濃く出ます。魚が得意でない相手には蒸したものを、酒の肴として渡すなら揚げたものへ。
足の強さは、原料の魚で分かれます。グチを使ったものは押し返す弾力があり、値もそのぶん上がります。人の集まる席に出してもらうならこちら。子どものいる家なら、癖の出ないスケトウダラのほうが減りが早くなります。
受け取れる日は、味より先に来ます。冷蔵で届くので、留守がちな相手なら、日を指定できるかどうかが先に来ます。一人で暮らす相手には、一切れずつ包んであるものを。祝いの席のものなので、悔やみの場には使いません。
**蒸したものと揚げたものが一つの箱に入るので、相手の好みを読まずに済みます。
年始や新築の祝いに送るなら、板に載った、グチを使った蒸しかまぼこを一本。魚が得意でないと聞いている家には、癖の出ないスケトウダラの個包装が、最後まで食べてもらえます。
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