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# ワイン飲み比べセット
一本だけ贈ると、当たり外れがそのまま出ます。何本かまとめて届けば、飲んだ相手が自分の好みのほうを見つけられます。ワインが好きな相手にも、これから覚える相手にも渡せるのが、飲み比べの組です。
見るところは、何をそろえて、何を変えた組かです。同じ年の中で産地や造り手を変えた組もあれば、同じ造り手のものを年違いで並べた組もあります。変えてある一点が、そのまま飲み比べの中身になります。
もう一つは本数です。三本のものから十二本のものまであり、届いた箱をどこに置くかは受け取った側の問題になります。相手の家の冷蔵庫と、飲む速さを思い出してから決めることになります。
飲み比べの並べ方には、垂直と水平という呼び名が付いています。どこをそろえて、どこを変えるか。その違いで、飲んだあとに分かることが変わります。
同じ年に作られたものを、土地違い、造り手違いで並べる形を水平試飲と呼びます。年という条件がそろっているので、出てくる差の多くが土地と人の違いから来ます。
ワインを覚え始めた相手には、この形が向きます。同じ年で並べて飲むと、自分がどのあたりの味を好むのかという見当がつくからです。好みの範囲を最初に描くための組、と考えてよいものです。
同じ造り手の同じワインを、収穫の年違いで並べる形が垂直試飲です。土地も人もそろっているので、残る差はその年の天候と、瓶の中で過ごした時間になります。
作柄のよい年とそうでもない年で味がどう変わるか。寝かせると香りや渋みがどう動くか。すでに好きな銘柄を持っている相手や、同じものを何年も飲んでいる相手に渡すと、飲みながらその話ができます。
品種の名前は、味の方向をおおまかに教えてくれます。ピノ・ノワールは涼しい土地を好み、色が明るく、渋みは控えめで酸味が立ちます。シラーは凝縮した果実味と、香辛料のような風味が出ます。
ただし品種の名前だけでは味は決まりません。同じシラーでも、フランスのローヌで作られたものは端正な仕上がりに、オーストラリアで作られたものは果実味の濃いものになります。品種をそろえて産地だけを変えた組は、この差を口で確かめる並べ方です。
ラベルに貼られた金のシールは、コンクールの結果です。よく見るボルドーの品評会は、一九五六年にその地方の団体が始めたボルドーワイン専門の会で、四千を超える出品のうち金賞になるのはおよそ一割です。
アジアで最も大きいとされるサクラアワードは、審査するのがワイン業界で働く女性四百三十人という会で、二十七か国から四千点あまりが出された回があります。審査する人も基準も会ごとに違うので、金のシールは「どこの金賞か」まで見て初めて意味を持ちます。
飲み比べの組は、届いた瞬間に相手の家の場所を取ります。中身より先に、この置き場所で使われるかどうかが決まってしまうことがあります。
この分野の組は、少ないもので三本、多いもので十二本ほどです。数が増えるほど比べられる幅は広がりますが、そのぶん箱が大きくなり、飲み切るまでの日数も延びます。
二人で飲む家でも、週に一本のペースなら十二本で三か月ぶんです。ひとり暮らしの相手に十二本の箱を送れば、玄関に置いたままになりかねません。相手が一週間にどれくらい開けるかを思い出して、三本の組か、六本の組か、そこから決めます。
赤も白も、保管そのものは涼しくて日の当たらない場所です。暑い時期に日の差す部屋へ置きっぱなしにすると、色でも本数でもなく、その環境のほうで味が変わります。
台所の床、廊下の物入れ、寝室の隅。相手の家にそういう場所がありそうかを思い浮かべて、無さそうなら本数を抑えます。飲み比べは三本でも成り立つので、置けない家に十二本を押し込む必要はありません。
白と泡は冷やして飲むものなので、開ける日に冷蔵庫の場所が要ります。一度に何本も冷やすなら、庫内の一段が埋まります。
届く日を先に伝えておけば、相手が支度をして待てます。日を指定できるなら、人が集まる予定の少し前に着くようにしておくと、冷やす手間もその日にまとめられます。
好みについて押さえるのは、この二つだけで足ります。辛口か甘口か。重いか軽いか。相手が食事のときに手に取っていたものを思い出せば、どちらかは埋まります。
何も手がかりが無いなら、辛口で軽めのものを中心に組んであるものへ。重いものは飲む人を選びますが、軽いものは食事の邪魔をしません。組の中に一本だけ重いものが混ざっていても、飲み比べなら比べる材料になります。
同じ飲み比べの組でも、渡す相手によって効き方が変わります。相手がワインとどう付き合っているかを先に決めておくと、迷いが減ります。
年をそろえて、産地や造り手を変えた水平の組を。土地ごとの違いがそのまま出るので、飲み終わるころには自分の好きな方向が見えてきます。
色まで一つにそろえた組のほうが、差は見えやすくなります。赤も白も泡も入った組は華やかですが、変わっているところが多すぎて、どれがなぜ好きだったのかが残りません。好みを見つけてもらうための一箱なら、色をそろえます。
同じ造り手のものを年違いで並べた垂直の組が向きます。飲み慣れた一本が、年によってどう動くのかを確かめられます。
産地を一つに絞った組も、別の意味で刺さります。こちらは年ではなく土地の中の違いを見る形で、その土地の作りをすでに気に入っている相手ほど、細かい差を面白がってもらえます。幅を広げる組より、狭い範囲を掘る組のほうが喜ばれる相手がいます。
その場で全員が同じものを飲んで、口々に感想を言う形になります。一人で順に確かめる飲み比べとは違い、同じ一杯について人と意見が分かれるところが面白がられます。
そういう席なら、本数の多い組が向きます。泡が入っていれば、最初の一本に迷いません。乾杯から始まる場では、開ける順番を相手が考えなくてよい形にしておくと親切です。
好みが分からない相手に、金のシールを手がかりにするのは一つの手です。ただし、賞にはいくつもの会があり、審査の顔ぶれが違います。
相手が普段フランスのものを飲んでいるなら、その土地の造り手や醸造家が審査するボルドーの品評会の金賞が響きます。いろいろな国のものを試す相手なら、世界中から集めて採点する会の金賞のほうが合います。どちらが上ということではなく、選んだ理由を口にできるほうを選べば、それが渡すときの一言になります。
相手のワインとの距離で決まります。好きな銘柄が決まっている相手には、良い一本のほうが届きます。飲む機会はあるけれど好みまでは定まっていない相手には、組のほうが残ります。飲んだあとに「こちらのほうがよかった」と言える場を、そのまま渡すことになるからです。
同じ予算なら、組にしたほうが一本あたりは抑えられます。そこが気になるなら、色や産地を絞った組へ。何をそろえて何を変えた組なのかがはっきりしていれば、数を並べただけには見えませんし、渡すときにその一点を言えば、それだけで選んだ理由になります。
何をそろえて、何を変えた組か。そこが最初の分かれ目になります。年をそろえて土地や造り手を動かした水平の組は、飲み終わるころに好みの方向が見えてきます。造り手をそろえて年を動かした垂直の組は、天候の当たり外れと、瓶の中で過ごした時間が出ます。前者はこれから覚える相手に、後者は好きな銘柄が決まっている相手に届きます。
品種の名前も手がかりになりますが、方向を示すだけです。涼しい土地のピノ・ノワールは色が明るく酸味が立ち、シラーは香辛料のような風味を持ちますが、そのシラーもローヌとオーストラリアでは濃さが違います。品種をそろえて産地だけを動かした組は、この幅を口で確かめるためのものです。
本数は、そのまま相手の家の場所を取る話です。三本の箱と十二本の箱では、置き場所も飲み切るまでの日数も変わります。二人で週に一本なら、十二本で三か月ぶん。日の当たらない涼しい隅が確保できない家に、大きい箱は届けません。
好みについて押さえるのは、甘さと重さの二つだけ。相手が普段の食事で何を開けていたかが一度でも思い出せれば、片方は埋まります。まったく心当たりが無い相手には、軽いほうへ振った組を。金のシールを目印にするなら、どこの会の金賞かまで見ておくと、渡すときに一言添えられます。
これから覚える相手には、色と年をそろえて産地を動かした組を。好きな銘柄がある相手には、その造り手を年違いで並べた組を。人が集まる家には、泡から始められる本数の多い組を。相手が次にワインを開ける日を思い浮かべてから、選んでみてください。
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